2004年06月12日

デュオデック魂

 部屋が汚いんですよ。
 机の上など本とかプリントとかその他色々なものが積み重なって、勉強する隙間もありません。部屋の主の心が反映されているとしか思えません。
 私の深層心理が勉強をいやがって、勉強が出来ない環境を作っているに違いない。つまり部屋をきれいにするためには深層心理が勉強を好きにならなければならないわけで、しかし怪しげな洗脳でもしなかぎりそんな事態にならないようなきがするので、誰か洗脳して勉強好きにしてください。
 もし私が勉強好きになったら溢れ出す勉強力と中途半端な記憶力を駆使して院の推薦とかゲットしたい。そしてわき出てくる勉強への欲求を駆使して勉強をするためのスペースを確保するという名目のもと、部屋をきれいにしたいのです。汚い部屋はいろんなやる気を減衰させて、やる気がなくなると部屋が汚くなっていくのです。この闇のフィードバックループの陰謀を打ち砕くために制御工学と統計力学を用いて確率とかを変動させなければなりません。
 部屋にある物が同じで部屋が汚くなる確率が減れば、片づけなくても部屋があまり汚くならないはずです。なぜなら読み散らかした漫画を放り投げたら、ちょうどそこがしまう場所だったという確率が増えればあまり部屋が汚くならないからです。
 しかしこの確率を変動させるには素晴らしい脳みそがひつようなので、結局天才にならなければ部屋はきれいになりません。しかし誰かが私を洗脳して勉強好きな天才に変身させてくれるという可能性は、まああまり高くはないよなという結論に達してしまったので、結局部屋がきれいになる確率は低いと云わざるを得ません。つまり卵も鶏もいないんだけど卵も鶏も欲しいという状況では鶏が卵を産むのが先か卵から鶏が生まれるのが先かという議論において卵が先なら目玉焼きを食べればいいし、鶏が先ならチキンカレーが食べたいなあということです。
 という議論の末に勉強好きになることも部屋がきれいになることも諦めてしまったので、とりあえずちゃんと生活するためには何らかの作戦で汚れていく部屋の中でも捜し物が見つかるアルゴリズムを生み出さねばならないという欲求に駆られました。なんと適切なデータ構造を用いれば探索の時間は劇的に減らせるらしいのです。そこでとりあえず部屋を大まかに区切って、それぞれの領域にだいたい何を置くかを決めました。この辺には服をおいて、この辺には教科書をおいて、この辺には本を置いてといった具合です。ただし漫画だけはきちんとしまいます。折れたりしたら嫌ですからね! これにより片付けるときは二平方メートルの領域にしまう物を放り投げればいいので手間が減るし、探すときも部屋全体を探さなくて良くなったので私は幸せになれました。この手法を使うことで、部屋の中でなくなった鍵を見つけるのに、たった十五分ですみました。
この実験により私は闇の研究機関に脳みそを改造してもらわなくても、また何もしなくても部屋がきれいな状態が保たれる確率を上げるために物理法則を操作しなくても、まあそれなりの手間で暮らしていけるという事を確信しました。
 それはとても素晴らしいことです。人間が頭を使えば、世界の法則にも打ち勝つことが出来るのです。
あまりにも感激したので目をつぶりながら号泣する私のまぶたの裏で山吹色の光の波が押し寄せ、心の中に人間賛歌を歌う声が巻き起こりました。
 人間万歳。