2007年01月24日

明日人には教えたくないが実用的なこと

世の中では結構知られていないのですが、ご飯を食べないと死にますが、テレビは見なくても死なないんですよ。

いや、僕もてっきり常識だと思っていたのですが、自分がテレビを所持していない事実を聞いた人の反応が意外なほど大きいどころか心配されるぐらいなので、もしかしたらテレビを見ないと死ぬとみんな思っているのではないかと思ったんですが。どうでしょう。
テレビが日常にない生活になって大体五年ぐらいになります。よく考えてみれば人生の半分以上がテレビのない家に棲んでいるわけですが、どっこい僕は元気に生きております。多少運動不足は否めませんが、健康と言って差し支えありません。
大丈夫です。テレビがあってもなくても健康には影響しないことは、僕が身をもって示しています。健康に影響するのはむしろ、食生活や生活習慣、あるいは日常の運動などであり、娯楽の種類ではありません。もしテレビを捨ててしまったら壊血病になって死ぬかも! とか戦々恐々としている人も安心できるのではないでしょうか。
しかし、YouTubeやらStage6やらDailyMotionやら、あるいは社会問題になっているアプリケーションとか、忘れかけられているGyaoとか、いろいろネットを使って映像作品を見られる手段が増えているけど、未だにテレビを持っていないと言うとほぼ間違いなく驚かれる事実に、僕のほうが驚いてしまいます。
娯楽の選択肢が増えたために、かつてメジャーだったものの影響力が減っているということはよく言われますし、テレビの番組の品質低下という意見もぽつぽつ見かけたりもしますが、それでもなんでも、テレビの視聴できる環境を所持しているのが当然であると非常に多くの人が思っていると言うことは僕には正直信じられないほど凄いことのように思われます。
と、たまには時事ネタも書いてみます。

ちなみにネット環境がなくても死にません。

2007年01月20日

日記

しかしまあ、特に書くこともないので何も書いていなかったら、今年になってから一回しか更新していたと言うことに気が付いて吃驚することは特にありません。
で、最近何をしていたかと言えば、いつも通りなので特に書くこともないですね。行動範囲狭いし。でも僕は想像力の翼でどこまでも飛んでいけるんですよ。

しかし最近は寒くて寒くて、朝起きたら布団の中も寒くてどうしようかと思うんですが、布団の外はもっと寒いのでやっぱり布団の中は暖かいという物理的事実に打ちのめされます。起きるパワーが。
それで思うんですが、近頃の若者には「起床力」がかけているような気がします。朝目が覚めたときに揺るぎない意志で布団から出る力ですね。もしかしたら「就寝力」の裏返しかも知れません。
起床力とか就寝力がかけているせいで、ほら、あれですよ、ニートとかいじめとか、フリーターとか増えたり、勝ち組とか負け組とか言い出したり、ペコちゃんペコちゃんペコちゃん、携帯電話の電磁波で人体発火を起こしたり、月が遠ざかったり、天の川銀河の属する銀河群がグレートアトラクターに引かれたりするんですよ。
ホント、日本の未来も不安ですね!!

しかし別に大寒だからと言って日本の未来をベッドの中で思い悩む必要もないので、みんな起床力を行使して起床したあげくソファーとかで二度寝すると良いと思います。

最近読んだ本とか

□ソムトウ・スチャリトクル「スターシップと俳句」
色物だけど、色物じゃなかった!!
みたいな感じ? すみません、正直侮っていました。
核戦争が起きた後、日本以外奇形や疫病が巻き起こる世界の話で、美や名誉のために死に絶えようとする思想と、生き残るために星々へと逃げようとする思想がぶつかり合う、という話です。多分。
タイトルからわかるように勘違いジャパネスクに溢れる作品であり、確かに色物と言えばそうなのですが、この作品が単なる勘違いでない所は死に強く惹かれる「日本的」思想に確かに奇妙な魅力が読んでいる人間に理解できる点で、主人公たちが二つの思想を揺れ動く心情に説得力が感じられます。この魅力というのが何で感じられるのかはよくわからないけど。
日本のようで日本とは全く違うとも感じられる距離感のわからない描写がそうさせるのかなあと思う。ああ、日本っぽいなあと思うところもあれば、後半に出てくる「死国」にあるジェットコースター(しかも富士急アイランドの)のコースが途中で切れてる自殺装置とか何の冗談かというのもある。翻訳のスタンスが全く一貫していないのも、もしかしたら理由の一つかも知れない。
前に某古本屋で見て以来気になっていた(その時は1500円ぐらいの値がついていたので買わなかったけど)けど、読めた良かった。この手のを幾つか読んでからサムライレンズマンを読み返したいなあとちょっと思った。

□ロバート・B・チャルディーニ「影響力の武器」
人間がなぜ詐欺にだまされたりや営業マンに物を買わされてしまうかと言うことを、被害者の側から分析している本。
人が何かを判断するとき、得られる全ての情報からではなく、その中の幾つかだけを見て自動的に判断することが殆どであり、詐欺師や営業マンはそれを利用して、相手に思うような行動をさせるあるいは承諾を得る。その利用される自動的な判断の基準になる物は大きく分けて、返報性、同意と一貫性、社会的証明、権威、好意、希少性の六つに分類されるらしい。この本では、それぞれについてどういう物か、どういう風に利用されるのか、そしてだまされないようにどう気をつければいいのかを豊富なケーススタディと社会学の実験を下敷きに丁寧に述べている。
ただ気をつけなければいけない、と本の中で何度か書かれていたのは、それぞれの判断基準は殆どの場合には正しい、特に利用できる情報が爆発的に増え、考える時間が昔に比較して少なくなっている(らしい)今では使わなければ社会生活がまともに出来ない物であると言うことである。つまり、こういった簡便な判断自体を否定するのではなく、利用して不当に自分の利益を得る人間に対して気をつけなければらない。
と言う本でした。
内容は良くまとまっているし、とにかく読みやすくて面白かった。取り上げられているケース全部がこの本の中の説明だけで語り尽くせるわけではないだろうけど、基本的な原理を発展させて簡潔な説明をしているので、痛快でもある。良かった。

ちょうど不二家の不祥事で手に入りにくくなるだろうとみんな思ってペコちゃんグッズが売れているというニュースを見ましたが、希少性の分かりやすい例ですね。実際買ってどうするんだろう。適当に見せびらかして、不祥事が忘れられることには捨てられるんだろうか。


□チャールズ・ストロス「アイアンサンライズ」
「シンギュラリティ・スカイ」の直接の続編。
主星が鉄爆弾によって超新星爆発を起こしモスコウ星系が壊滅する。しかしモスコウが壊滅する前、貿易問題から他の星間国家と緊張状態にあったため、報復艦隊が発進してしまう。生き残っているモスコウ大使二名以上が停止コードを送らなければ、八億人の人間が死ぬ。しかし大使たちは何者かによって暗殺され始めている。地球の国連の諜報員レイチェルたちは大使の暗殺を止めるために動き出す。
一方超新星爆発の衝撃波面から逃れるためにコロニーから脱出する前に偶然モスコウにおける陰謀の証拠を握ってしまったウェンズデイは何者かによって命をねらわれるようになる。

と言うわけでストロスの新刊なんですが、もう、ファンになってしまいそうですよ! というかなりました。新刊出たら全部買います。
前作はとにかくいろんな要素を詰め込んだお祭りのような話だったけど、今作は腰を据えて語られるなかなかどっしりとした話になってます。前は色々寄り道というか直接は関係ない話が多かったのに比べ、今回はいろいろな場面を描きつつもキッチリと最後では一つの場面に収束させています。
で、特に気になった点として、前作では様々な登場人物(人と言っていいのか)が出てきたけど、フェスティバルとかは存在としては中立だし実際敵として出たのは共和国の体制側だけで、この世界の中では完全に退行した社会であり、本質的な脅威にならなかったのに比べ、今作ではリマスタードというかなり存在感のある組織が出ているところがある。エシャトンを廃し、自らの手による神を作り出そうとしているリマスタードが独特の社会を作り様々な星系に影響力を行使し、勢力図を塗り替えつつある一方で、因果律侵犯兵器である鉄爆弾の行使を許したようにエシャトンの能力が必ずしも万能ではないことが示される。
前作は完全にお釈迦様の手の上という感じでシンギュラリティ後の世界の因果律侵犯に対する堅牢なところを見せていたが、今作ではその世界構造自体が絶対でないと、少なくともリマスタードが思うだけのものである事がわかる。今作でもリマスタードとの決着はついていないし、このシリーズがどこに行き着くというのがとても興味深いです。
アッチェレランド・シリーズも凄い面白いと聞くし、色々楽しみ。

□仙川 環「感染」
細かい筋は忘れたけど、医療を扱ったサスペンス小説。
なかなか重いテーマを扱っているし、それもしっかりストーリーに絡み合って居るんだけどなんか二時間サスペンスの色が強く感じられる。不思議。さっと読めて面白いので、なかなか悪くないです。

□岳 真也「吉良の言い分 梅嶺院富子の場合」
みんな大好き忠臣蔵、を吉良側からの視点で見る「吉良の言い分」の外伝で、吉良の妻富子を中心に忠臣蔵とその前後を語る歴史小説。
忠臣蔵ではとかく一方的に悪者にされがちというか、あまり扱いのよろしくない(らしい)吉良上野介なのですが、吉良がわから事件を見るとまた違ったものが見えてきますという、タイトル通り「吉良の言い分」な本です。
忠臣蔵に関しては正直知識としてしか知らず、ドラマにしても小説にしても鑑賞したことがなく具体的なイメージがないので、見方が一変すると言うことはなく、そうだったのかあという感じなのですが、何にせよただもの悲しい気分になる話です。
年末は忠臣蔵! とかいう人が読むとまた違った印象を持つのではないかと思う。

□古橋秀之「デモンベイン ド・マリニーの時計」
前作「軍神強襲」が神懸かっていたので、ドキドキしながら読んでたんですが、期待と違った!! 面白いけど完全にギャグよりだったので肩すかしを食らった気分ですよ。だって、タイトルがド・マリニーの時計ですよ。期待もふくらむというか、
でもギャグだった!!
面白いけど。
短編集で「ド・マリニーの時計」「遺跡破壊者」「破壊の序曲」の3編が収録されていました。表題作はスニーカーに掲載された物で、デモンベインに初めて触れた人向けらしくかなり説明的かつパターンを踏襲した物でわかっている人間にはちょっと物足りない。二作目は若き日の天才ドクター・ウェストとシュリュズベリイ教授の幾度かの邂逅というかなんというか。なかなか、なんというか、馬鹿馬鹿しくも工夫の多い話で。オーガスト・ダーレスのシュリュズベリイ関連の話を読んでから読むとまた面白い気もする。
三話目もドクターウェストが主人公。本編の数年前の話。デモンベインの馬鹿馬鹿しい部分を煮詰めたような、とても下らない話。なかなか味わい深く、読み返すごとに楽しさが深まる、かも。
古橋秀之によるデモンベイン外伝も気づけば三作も出てます。デモンベインの作者自体が古橋秀之に影響を受けているだけあってシリアスな物にしろギャグにしろ相性も良く、両方のファンとしては嬉しい限りです。

ついでに古橋秀之の話。
昔ブラックロッドを読んで以来古橋秀之の作品は好きというか、僕は愛してやみません。で、僕は僕でそれで良いんですが、世間一般ではコアなファンは結構居るにしてもあまり売れないらしく、実際出ているシリーズがことごとく途中で止まっているという悲しい事態になっています。ケイオス・ヘキサの三部作は終わっているけど、もともと一巻完結の話だし。
SFが基本だと思うのですがなかなか作風の幅の広い人で、ディープな物から軽妙な物まで色々手広くやって居るんですが、なんというか、まあ。ファンは面白いのにと嘆いていると思うのですが。
最近(と言っても一昨年だけど)出た「ある日、爆弾が落ちてきて」という短編集は結構評判も良く、実際この前本屋で見たら四刷になっていて吃驚したんですが、我ながら失礼な話です。ちなみにとなりにあった「IX(ノウェム)」は初版のままでした。
ソリッドファイターの続編に関してはどうも色々あるらしく、正直もうあきらめもついているんですが、超傑作である「タツモリ家の食卓」の続きが出ないのは許せないというか、もはや犯罪であると思う。
タツモリ家の食卓に関して思うところは多いというか、どうせ単行本で収録されるからと短篇の収録されている電撃HPを買わなかった昔の自分を

で、なんでもうちょっと売れないのかなあと思っていたんだけど、せっかくなので仮説を立ててみた。古橋秀之の作品って読む人間が感情移入できるようなキャラクターがあまりいないし、そういう描写もむしろ意識的に避けているふしすら感じられる。と言うのが理由のような気がする。実際感情移入できる主人公ってソリッドファイターのぐらいだよなあ。他はなんだかんだで、あんまりそういうノリじゃない。タツモリ家の食卓の主人公もある種の超人だし。
描写も非常にサッパリ、感情的な場面の描写はもの凄い重要なシーンもサラッと書いてしまうんですよね。個人的にはそれは好ましく思うんですが、まあ、色々ですよね。
その辺後輩の秋山瑞人とは正反対だよなー、というかその辺から思ったんですが。

「タツモリ家の食卓」完結まで読みたいなあ。他の終わっていないシリーズも。あとブラックロッドシリーズの噂されている中国編も出るなら。あと「人狼日記」も。

□倉田英之「ガン×ソード」
正月の緩やかな時間に何をしていたかと言えば、YOUTUBEでガン×ソード全話を見ていました。いや、倉田英之が脚本やっているというので一応気にはなっていたので。
面白かった。絵も全話かなり綺麗だった。
中南米っぽいところを舞台にした復讐譚、と思いきや舞台自体は何でもありの世界だった。というか前情報なしで見たのでロボットが出たときには仰け反った。エルドラ5が出てきて合体したときはもっと仰け反った。まあかぎ爪の男の目的はそれどころではないけど。
まあ、何にせよ。痛快娯楽復讐劇のコピーに恥じないアニメだった。
かぎ爪の男が浮世離れしすぎて気持ち悪いんですが、その辺は小説をあわせて読むとその辺上手く補完されていて良かった。
しかしかぎ爪の男にしろエルドラ5のメンツにしろ、ジョーにしろカイジにしろ変な人間を描くの上手いよなあ。声も良いし。
・「夢見る頃をすぎても」
小説一冊目。主人公側の三人、ウェンディ、カルメン、ヴァンの過去を描いた作品。なかなか。まあ、ヴァンの話はちょっとふざけすぎの感が強かったですが。
・「夢見るように眠りたい」
二冊目。敵側のかぎ爪の男の昔の話を描いた作品。かぎ爪の男がアニメのと同一人物と思えないぐらいまともな印象を受けるのですが、彼の動機と目的がよくわかって良かった。

2007年01月06日

新年

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
2007年であり、平成19年であります。昔のSFを呼んでいたりするとああ、随分未来にいるなあと思ったりします。とにかく、自分にとって楽しい一年にしたいと思います。


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実家にあった中原淳一の本が結構よかった。なんというか、中村博文が好きそうなファッションがいっぱい載ってました。思い出しながら描いていたんですが、なんか違う気もします。気にしない。
そういえばこの前ギャル系とビジュアル系の方々はお互いにバカにしあっているという事を聞いてそれなりに新鮮な驚きを覚えたのですが、それはそれでどうでもよく、中村博文が描く司書さんのような格好をしている若い人はいないのかなあと僕は思ったりします。