2005年04月19日

実際の話

昨日、上野公園でご飯を食べていたのですが、休日だからか、不忍池の横のボート池になんだかやたらとボートが浮かんでいました。家族連れも多少は居ましたが、よく見てみるとほとんどカップル。

こんなちっちゃい池に何十隻も密集してぷかぷか浮いて何が楽しいのかと、お日様の下で密室気分で愛を語らってるんじゃねーよ、と至極まっとうな感想を抱いてしまいました。
彼女という存在は都市伝説である、という定説を支持する僕としては、そもそもカップルがこんなにいっぱい居るという事態自体が間違っていると言わざるをえません。
しかし、カップルがいる、つまり彼女が居る男がボートの数−家族連れの数だけいるということは現実です。いや、まあ夫婦もカップルと考えれば、ボートの数そのものと考えてもいいでしょう。
つまり、僕の支持する定説か現実のどちらかが間違っているという事になります。しかし、僕の21年間の人生を通して、この定説が正しいと言うことはハッキリと確信しています。となると、現実が間違っているということになりますが、現実を否定するというのは科学に従事する人間の候補生の態度としてはちょっとどうかと思います。
そこで僕は鮮やかな解決法を考えつきました。つまり、僕の現実の解釈が間違っていたのです。僕がこのちょっと性能の悪い目を使って認識したのは、ボートの上に、男と、女の形をしたものが一緒に載っていて、どうやら楽しそうにしているように見える、ということです。僕の先入観にまみれた脳みそはそれを、交際している男女が池の上でデートをしている、と解釈したのでが、この解釈が間違っていると考えれば、全てのつじつまが合います。
まず、一つの候補として二人は交際していない、という可能性が考えられます。しかしまあ、恐らくつきあっていない、あるいはつきあいそうな男女で無い限り一緒にボートにのって脳みそにお花畑を育てるなんて事はないような気がします。
そこで次の候補をあげましょう。僕はボート上の男女はつきあってはいるのだろうけど、女に見えるものは、実は人間でないと考えました。つまり、人間より遙かに優れた科学技術を持つエイリアンが、僕を嫌な気分にさせるために作った、とても精巧なロボットなのです。
こう考えれば、全てのつじつまが合います。
僕の支持している定説は、彼女は都市伝説である、という物ですが、これの前提は彼女というのは人間である、ということです。ですので、この池の上にいる無数のカップルの女が人間でないと考えれば、僕の考えている定説は否定されることはありません。また、現実を否定して妄想に逃げる必要もありません。とてもスマートです。
多分エイリアンは才気あふれる僕が、将来地球侵略に際して大きな障壁となることを見越していたのだと思います。だから、世の若者たちはみんな番っているのだという、壮大な嘘を僕に信じさせ、落ち込ませて、僕の精神に多大な重圧をかけようという試みたのだと思います。そのために非常に良くできたロボットを地球上に多数潜入させ、知的レベルの低い男たちを誘惑させてこの国にはいっぱいカップルが居るという状況を作り出したのだと思います。そしてその成果が、上野公園の池の無数のカップルなのです。
しかし、僕は彼らの予想より頭が良かったのと、彼らのちょっとしたミス(普通に考えて、小さな池にあんなに多くのカップルが同時にボートで出るなどと言うことは有り得ない!)により、とても科学的な思考過程を経て、カップルの女は全てエイリアンの作ったロボットであることに気がついてしまいました。いくら科学技術に優れていて、人間の女と区別の付かないようなロボットを作れるとは言っても、所詮僕にかなうほどではないと言うことです。
彼らは僕の精神をモニターしているので、僕が知ってしまったことに気がついてはいると思いますが、どうもまだこの作戦をやめるつもりはないようです。今日も大学や駅で人間の男と女の形をしたロボットが一緒に歩いているのを僕に見せつけていましたが、あれで僕が落ち込むとでも思っているのでしょうか。笑止としか言いようがありません。
恐らく彼らは、僕が自分の考えを妄想だったのではないかと勘違いするのを期待しているのではないでしょうか。つまり、ロボットが人間の女に偽装しているという考えは荒唐無稽だった、と思いこませようとしているはずです。しかし、エイリアンの技術が人間の常識を越えているのはそれこそ常識的なことです。現に今、エイリアンが僕の頭を走査しているちりちりとした感触を感じています。まあ、僕の二重の精神防御の奥までは走査できるはずも無いのですが。もちろん精神操作されることもありません。僕の脳は澄みわたった明快さで、実に厳しい現実を見据えています。
はっきりいってこの地球上に、エイリアンの脅威を認識し、対抗できる人間は僕一人しかいません。エイリアンはもう数十年もしないうちに、この地球に進行してこようとしています。これは間違いありません。そして侵略のさいに、エイリアンのロボットは有りとあらゆる破壊工作を人間に対して行うでしょう。たぶらかされてエイリアン側につく男もいるかもしれません。
間違えなく、これ以上エイリアンのロボットを放置していると、人間の未来に重大な危機が訪れます。
いまはまだ未熟ですが、大学院を出る頃までにはエイリアンの精神を逆走査出来るだけの装置と絶滅兵器を開発し、地球上に無数にはびこっているエイリアンのロボットを全て破壊し尽くそうと思っています。