2007年09月20日

いろいろ。

■coco「今日の早川さん」
マニアックな本好きを主人公にしたおたくネタ漫画。
SF好きの早川さん、ホラー好きの帆掛さん、純文学好き岩波さん、ラノベ好きの富士見さん、レア本好きの国生さんというまあ、そのまんまな名前の五人があーあるある的なネタを繰り出す110ページ。
早川書房とか東京創元社とか富士見書房とか国書刊行会とかそういうところが出してる割とジャンル色の強い小説に一定の反応をしめす人が楽しめるらき☆すたという感じで、ああ、なるほどコレがらき☆すた好き(主に原作の)の感覚かと膝を打った次第です。純文学? 何それ。

ただ、もとがネットで連載されていたものなせいか、正直本という形式だとそれほど面白く感じなかった。何でか分からないけど。もうちょっと上手いやり用はなかったのかとちょっと思います。
あと結構売れているようなので、続きが出そうな気もします。


■小松 秀樹「医療の限界」
「医療崩壊」の著者が新書で書いた医療崩壊の本。内容は「医療崩壊」に近く、日本人の死生観の問題、医療と司法の問題、医療システムの問題点と改善法、現場の取り組み、公共財としてあるべき医療、アメリカやイギリスとの比較、云々について丁寧に説明していく感じ。
医療崩壊に関してはずいぶんとネットでも見かけるようになったようなきがします。産科関係は特に。マスメディアではどうかは知らないけど。正直そういうのを読んだりこういう本を読んだりすると、もう駄目なんじゃないの? というかもう既に崩壊しているんじゃねーのこれという感じなのですが、自分に出来ることは病気や事故には気をつけようと云うぐらいしかないので、精神衛生のためにあんまり考えないことにする。
しかし現在というか僕がイメージするような医療は多分維持できないんだろうなあというのは分かるんですが、なんだろう、結局誰も幸せにならない結末なのかな。まあ、それぞれが自分の狭い領域内でベストと思うことをやると、他が大変なことになるというそういうことなのかなあと思ったりする。あとは無謬性の仮定か。間違えを認められないというのは恐ろしいことではある。
全般的に冷静な筆致では書かれているけど、著者の危機感は伝わってくる。というか下手なホラーより怖いのは自分の身に影響が及ぶ可能性が高いからだろうなあ。


■佐藤 哲也「未来を予測する技術」
日本最強のスパコンである地球シミュレータの偉い人が書いたシミュレーションの本。科学において理論と実験に加わるもう一つの柱としてのシミュレーション、すなわち要素還元的な考え方ではどうしてもとりおとしてしまうシステム全体の複雑な振る舞いを予測、検証する力のある新しいパラダイムを、主に地球シミュレータを例として語られている。
んですが、凄いですね地球シミュレータ。情報系にいるのに恥ずかしながらピーク演算能力が凄い程度の理解しかしていませんでしたが(あとでかいとか)、非常にエポックメイキングなスパコンであるようです。すなわち以前のシミュレーションではあくまで部分のシミュレーションに過ぎず、システム全体の振る舞いを予測出来ない、理論、実験の補助的な役割しかしていなかったのを、地球シミュレータではシステム全体、たとえば地球全体をそのままシミュレーションするという大きなパラダイムシフトがあるようです。
実際に地球シミュレータをつかって行われている研究が色々のっているんですが、どれも面白いというか、色々この先どうなるんだろうという期待でワクワクします。素晴らしい。

汎用京速計算ではおそらくこの本に提唱されているマクロシミュレータとミクロシミュレータを組み合わせたホリスティックシミュレータを踏まえ手だと思うけど、スカラ・ベクトル複合型システムになるようです。人体シミュレーションを目指すと云うことで中々、ぶちあげたなあという感じですが。
しかしPCでもGPUを汎用ベクトル型プロセッサとして使う流れも出来ているようだけど、こっちの方はどうなるんだろう、とかいろいろ面白そうではあります。

■前野 隆司「脳のなかの「私」はなぜ見つからないのか」
ロボティクスの専門家が、ロボットの意識を作ろうと色々研究した結果、意識は幻想で自由意志なんて存在しないよね! みたいな結論に達し、それを踏まえて古今東西の哲学や宗教や科学の意識に関する歴史とかを読み解いていく本。
なんとなーく全般的に我田引水感も否めないわけでもないんだけど、僕の考えが著者のそれにかなり近いためウンウンうなずきながら読めてしまった。そしてあらかた忘れた。でもこう、厳密さを追求すると面白さが多少スポイルされるんだなあと思いまして候。
自由意志については定義の問題のような気がする。ただまあ、個人的には意識とかは決定的ではないかと思う。量子力学的な効果に関してはシステムとしては影響がないのではないかと。まあ、だからどうしたと言う話ではあるけど。どうもしません。決定的であることが個性なんだよ! とか適当なことを云ってみる。どうでもいいけど哲学的ゾンビの話を見ると、いつも鉄コミュニケーションの最後のルークとイーヴァのやりとりを思い出して目頭が熱くなります。
あとは飛ぶ石の意識とかそういう話は面白いというか、結構本質的な気がする。フィードバックはあるんだろうから、全くそういう話ではないんだろうけど。うーん。
意識って昔から今まで色々考えられているけどよくわかんないねーでもそのうちわかるんじゃね? という本だということにした。僕の中で。
で、クオリアって何?
「赤の赤らしさ」
ギャーッ!!

それはともかく最後の哲学者との談話がちょっと面白かった。いや、内容は個人的にはちょっとアレというか、かったるいんですが、色々議論したあげく、お互い使っている言葉にたいして違う理解をしていた! これじゃあ議論してもかみ合わないわけだ! という素晴らしくラディカルなオチがついた所があってちょっと笑った。いや、こういう商売しているなら、笑い事ではないのかも知れないけど。うん。
とりあえず哲学はよく分からないので趣味というブラックボックスにつっこんでおくことにする。哲学は趣味だ。

■ゆずはらとしゆき、海野十三「十八時の音楽浴−黒髪のアネット−」
海野十三の「火葬国風景」と「十八時の音楽浴」という関係ない二作品に共通するベースとなる設定を加え、エピローグを付け足すことで一つの小説にしたもの。
昔のものを元に新しい作品を作るガガガ文庫の跳訳という企画の第一弾だそうです。そういえば超訳というものがありまして、シドニィ・シェルダンとかの作品がそれで訳されていたものを昔読んだなあと云う思い出。それはどうでも良い。まあ、なんというか新しいレーベルらしい奇抜な企画なんですが、こういう変なことはどんどんやって欲しいなあと思う。
いやあ、面白かったです。結構。元の小説からして両方相当変なんですが、これまた変な新要素が上手いことカッチリはまって、元々関係ない小説だったとは思えないほどです。あとこの手のグルグル回る話は僕のツボなのでそれだけでも超高得点です。うん。

難点としてはライトノベルのジャンル的な特徴を意識しすぎているというか、ライトノベルに仕様としすぎたせいか、わざとらしいキャラクターがちょっときつい場面もあったのですが、それも悪し良しなのでなんとも、まあ、コレでも良いのかな。
もう一点、挿絵が……。いや、良いんですけどね……。いや、良くない。表紙や口絵はまあ、いいんですが、本文の挿絵がなんとも。ハルヒ的酷さというかなんというか。でも最近ラノベって大まかにはこっち方面ですよね。グレースケール。だから僕の理想も古いんだとは思いますけど、それにしてもなあ……。

そういえば元になった二作品は青空文庫にありました。良い時代です。

■マルキ・ド・サド「悪徳の栄え」「美徳の不幸」
いやまあ、たまには古典的名作(?)も読んでみようかと思いまして。
なんか家が没落して身寄りを亡くした姉妹がおりまして、姉が淫蕩の限りを尽くしたり人を欺したり殺したりしながらおもしろ可笑しく暮らしていたらなんか良いご身分になるけど、真っ当に生きようとした妹がなんかまあ、不幸になると言う道徳的なお話。多分。
美徳がいかに下らなく、人は悪徳を尊ぶべきである見たいな哲学が登場人物の口を借りて延々延々延々延々何度も手をかえ品をかえて出てきてかったるいんですが、それをおいておけばまあ、それなりに楽しく読めたけど、それをおくとこれって単なる変態小説じゃない? みたいな気もしないでもない。まあなんというか、キリスト教的というか西洋的な道徳観が下地にあった上での作品だと思われるので、そういった下地が無く背徳的な味わいを楽しめないという時点で直球での面白さというのはどうしても分からないものです。ああ、でも道徳的行為を強く否定する人が、逆に触れることでそれはそれで規範に縛られるというのは面白いのかも知れない。
ただまあ基本的にかなり酷い話だった。うん。僕みたいな良識的な人間には心が痛くて読めないぐらい!
教養のあるひとが書けば変態ファンタジーも名作になるという事にしておこう。勝手に。

■ザッヘル=マゾッホ「毛皮を着たヴィーナス」
サドを読んだからマゾッホも一応読んでおこうと思いまして。
↑を読んだ後だからかも知れないけど、割と真っ当な小説に思えた。けど全然面白くないので超絶とばし読み。うーむ。
サディストはマゾヒストがいなくてもどうにかなるけど、マゾヒストはサディストがいないとどうにもならないと言う話か!? えーと、鞭で打たれたいからって好きな相手をサディストにするのって大変だなあと云うお話だった。

■ジョルジュ・バタイユ「眼球譚」
……。
やっぱり読む下地がないので、かわった変態小説としか思えなかった。
卵、眼球、睾丸。うーん。
メタファーとか、どうでも良いや。とりあえず。
あるいは「目玉の話」と読み比べると、またなんかあるだろうか。

こんな感じで将来エロライトノベルが珍重されたら面白いなあと思ったけど、教養と希少性がないと駄目ですかね。

■小寺 信良 津田 大介「Content's Future」
コンテンツの未来について、それらの産業に関連のある人たちへのインタビューをまとめたモノ。正直インタビュアーの対談が一番面白かったのはまあおいといて。
著作権関係の話はこれからダイナミックに変わっていく面白い分野だろうし、今実際に色々と審議をされていてそういったニュースについてはある程度読んだりはしているんですが、実際旧来からのコンテンツ産業に関わる人がどういったことを考えているかというのをまとめて読んで見たかったので読みたんですが、その辺の話は半分、後はCGM話とかだったので、期待した内容とは違いました。が、まあ、話としては後半の方が良かった。

「ネットでしかできない映像表現」というのはうーん。解像度の問題とかはさておき、なんかこうネットによって一番変わってしまっている状況というのは映像コンテンツの中身と云うより、それが取り巻く状況という気もするので、なんかこうレイヤーが違うような気もするんですが、いや、そうでもないのかなあ。
なんとなく、コンテンツで金を儲けるのって、広告か、コピー可能なデータを安く売るのか、コピーできるデータに付加価値を付けたパッケージを高く売るか、コピーできない体験とかを売るかとか、そういう感じかと勝手に思っていたりします。そういう意味でネットを使って最後のを出来るのかなあとかそういうのがネットでしかできない映像表現かなと思ったりもするのですが、しまった! 本の内容とは全然関係なかった!
しかしそれにしても第2日本テレビのサイトは酷いな……。トップページを見ただけでそれ以上見る気がなくなるぜ! こんなの誰が見るんだろうなあ。不思議。

YouTubeは大きく取り上げられているんですが、ニコニコが全く取り上げられていないのは残念だなあと思う。日本のその手の界隈での存在感はもうYouTubeなんか問題にならないほどだし、YouTubeよりよほど新しいというか色々面白いし。なんかこう、うん。

どうでも良いけど、著作権関連ってネットやら何やらでゴタゴタしている感はあるけど、結局の所何が一番問題って、著作権があまりにもよく分からないことだよなあと思う。んー。権利者側から見ればP2Pも動画共有サイトも色々言語道断なのはわかるけど、視聴者側から見るとアレですね、そもそもテレビで無料で放送しているものを見て何が悪いとか、レンタルCDなんてコピーを前提とした商売をやっているくせに! 私的複製ってどこまでだよ! とか思ってしまいますよね。別にネットでモラルハザードが起きたわけではなく、コレまでのコンテンツを取り扱ってきた考え方で同じようにやっているだけだと思います。それがネットで無視できないほど強まったというのは分かるんですが、なんというか人ってコレまで出来ていたことを制限されるのに反発するそうなので、ネットが出たからってコレまでのコンテンツへの接し方を説明もなく変えさせようとしたのは、反発を受けるのはしょうがないんじゃないのと言う気もする。法律だから! で推し進めるには、著作権はあまりに不可解すぎる。電波で放送するのとネットで放送するので扱いが変わるというのは、うーん。
まあ、なんというか、視聴者としては好きなコンテンツを作ってくれる権利者が潰れられては困るだろうし、権利者としては視聴者にそっぽを向かれては商売が成り立たないだろうしどっかで落としどころを見つけるか、あるいは行くところまで行ってその分野の産業が潰れるかのどっちかという気もします。昨今楽しむモノはいくらでもあるし、それで喰っている人以外は誰も困らないだろうし、質はどうあれ映像表現、音楽表現が無くなることはないだろうしなあ。
すくなくともコピーは一世代のみで9回までなら可能! 素晴らしい成果! とか云っている場合でもないんでしょうが、利害がいろいろ絡むと大変そうだなあという。べつにいーじゃんコピーワンスで。こういうのは極端に駄目な方で行くところまで行った方が後色々ありそう。
自分としては、この辺り何もかも潰れたりするところが見てみたいなあと思います。ならないでしょうけど。

と、たいして知りもしない人間が適当に書くのはよろしくないんですが、まあ。

■和月 伸宏「武装錬金」
初めてちゃんと最後まで読んだ。
結構面白かった。戦闘がサクサク終わるのが良いね。最近のあり得ない長さだったりするし。ケレン味が強すぎる気もするけどキャラも良いし、ストーリーも良いんだけど、なんかこう武装練金とか戦団とかオリジナルなファンタジー設定に広がりを感じないというか、今一説得力を感じない。
るろうに剣心みたいに、オリジナル要素ではないしっかりとバックボーンのある上で作られた話を読みたいなあと思った。

■西 義之「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」
小笠原 エミがラスボスで、美神が男のGS美神と勝手に理解。いや、設定が。

■松井 優征「魔人探偵 脳噛ネウロ」
思ったより面白かったけど、一巻と十巻で絵が変わってない……。なんともいえない衝撃。