2007年11月12日

雑記

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地上波デジタルを受信してコピーガードなしでそのまんま保存してくれる台湾製のFriioとかいうデバイスが発売され、どうやら詐欺でもなく人柱組が勝ち組に転職しているようです。実際に使ってみた人がアップしている静止画や動画のサンプルを見てみたら綺麗すぎでビビリました。DVD、何その旧時代のメディア、みたいな。地上波で無料で流したものよりよっぽど低画質なものを高い値段で売るのカー、とか思いました。

それはそれとして、コピーワンスが緩和されてダビング10にするとかなんとか色々審議されているみたいなんですが、その一方で地上波デジタルは録画されコピーされネットに流され、フリーライダーは楽しい日々を送っているという状況を見ると、アレ、何が問題なんだっけ? とか不思議な気分になる。
いや、デジタルでアナログ放送より規制を強くしなければならない理由って劣化しないで幾らでもコピーを作れる、ネットにばらまける、という辺りだったと思うんですよ。で、確かにコピーガードで普通の人が無差別に劣化なしのコピーを作るのは防げるでしょうけど、よっぽど問題の後者については日本で誰か一人でもコピーガードの掛かっていないデータを作ってしまえば、基本的にフリーライダーは誰でも幸せになれるんですよね。
権利者とか放送業者とか機器メーカーとか消費者とかいろんな利害関係がある中でダビング10は一世代にせよ結構良い落としどころなんでしょうけど、そんなのとは別のところで状況がそうなってしまうのを見ると、なんだろう、審議している人たちはどう思っているのかちょっと気になる。

倫理でも法律でも技術でも完全に防ぐのって相当大変というか殆どムリじゃないかと思うし、完全に防げないと、誰の手にも渡るという状況を見ると、情報でお金儲けってどんどん大変になってるなあと改めて思いました。今更な感想ですが。
いつかもしコルヌコピアマシンみたいなのが作れるようになったら、モノも同じになるんでしょうねー。


■「小説版 電脳コイル」
アニメの話を下敷きに設定、展開などにいろいろアレンジを加えた小説版。
悪くはないと思うんですが、電脳メガネの設定変更が納得がいかない。アニメでは当然誰でも使うことが出来るのに、小説版では何故か子供以外は使うことが出来なくなっている。

アニメは佳境という感じ。おもしろいなあ。

■「騙されやすい脳」
様々なブームについて、流行する理由を解体するとこんなモンですよというか、こんなろくでもないことですよ、みたいなことを、タイトルの通り脳に絡めてい話してる本。
ただ、脳の研究が進んだおかげで流行の原因がこんなに分かるようになった! という本の大事な部分が非常に雑と言うか、適当というか、で、結構げんなりした。
個々の話自体は割と面白かったりするんですが、それならそれでもっと別の書き方があるだろうと思いました。

■「宇宙を復号(デコード)する」
タイトルが格好良すぎたので買ってみた。トンデモかと思ったんですが、真面目なポピュラーサイエンスだった。
情報という視点から物理学を解説している本。
暗号、熱力学、情報理論、相対性理論、量子力学、量子情報ときてブラックホールと情報の話とか、量子的絡み合いの話とか、光速をこえる話とか、多世界解釈の話とか。
個人的にはシュレーディンガーの猫とデコヒーレンスあたりの話が一番面白かった。あと量子的絡み合いと多世界解釈あたり。

■「ネット未来地図」
ネットにありそうなネット関係のコラム集。

■「経済とはそういうことだったのか会議」
どういうことだったんだろう。

■「議論のルールブック」
メラメラ燃え上がるネットの議論を数多く見てきた筆者がその原因と、まともに議論を進めるにはどうすればいいかというのを提案している本。
議論とは人の話を聞くことである。
議論に勝ち負けはない。
……
という感じで言われてみればなるほど、という事を具体例を挙げながら詳細に論じている本。読み物としては少々疲れるものの、議論をする上で読んで結構為になる気はする。まあ、特にネットでの議論なんて絶対やりたくないですが。
主観による意見の扱いについてはちょっと納得がいかなかった。基本的には「こういう可能性はないだろうか?」というものだとおもうので。まあ、単に言い方の問題と言えばそうなんだけど。炎上するしないという意味で言えば、そこは結構クリティカルだと思う。

あれ、ディベートって……。とか思ったけど、コレは審判に向けた討論会みたいなものなので、問題はないですね。

■「戦前の少年犯罪」
「少年犯罪データベース」というその方面では結構有名なサイトの管理人が、昭和元年から、太平洋戦争終戦までに日本で起きた少年犯罪を調べ整理した本。
コレは面白い。僕が戦前の子供についてなんとなくイメージしていたのが粉々になるような事件の質&量です。江戸川乱歩を地でいくような猟奇殺人に始まって、ああ、自分はなんて品行方正な少年だったかと感心してしまうような内容です。

とはいうものの本書の趣旨は実際の所少年犯罪そのものではないと思います。後書きに「情報の流れ方に興味がありまして、ちょっと調べれば分かるようなことをなぜ、人間は誤った情報を易々と信じてしまうのか。それもひとりやふたりのうっかりさんではなく、情報の専門家と自称しているようなとっても威張っていたりする人も含めてほとんどすべての人がそうだったりするのはどうしてなのかを探ろうとしています」とあるように、筆者は少年犯罪をモデルケースにして、いかに人がモノを調べずに印象だけで語っているのかというのを浮き彫りにしています。
この本で言うなら、今教育や、少年犯罪について語るような人が、いかにものを知らず調べもせずに知ったかぶりで喋っているのか、という事がこの本を読めば嫌と言うほど知らされます。
それについて笑って読んだことは読んだのですが、実際の所を言えば、僕自身だって同じで人を笑えることではないと思います。

そんな感じでかなり挑発的に書かれた本なので、引っかかる人もいるかも知れないんですが、どうしてなかなか、誰にとっても一読の価値はある本だと思います。少なくとも僕はこの挑発に対して自分は違うと言うことは出来ません。

ついでに。
ただ実際の所全ての事を自分で検証して語るというのはムリで、多くのケースではそれほど多くはない情報源の中から信頼できると思ったものを受け入れる事になるんですが、それをどう判断するかという問題もあったり無かったり。

■「若者を見殺しにする国」
俺にケツを拭かせるな。
俺に飯を食わせろ。
というかんじ。中心となる「「丸山眞男」をひっぱたきたい」についてはネットにあるので、読んで気になったら面白いかも。

■「若者を殺す時代」
上の本とタイトルが似ているのは、上の本がこっちに影響を受けているからのようです。というわけで言及されて他ので読んでみた。

微妙。というか正直この本嫌いだなあ。
大人と子供の間に若者という世代がつくられ、それをターゲットにした消費文化が生まれたのが八十年代であり、若者は消費者としてターゲットにされてきたとか何とか。
基本的に年寄りの戯言に思えた。若者に寄り添っている風を装っている分さらに嫌になる。豆腐の角に百万回頭をぶつけて*ねと言いたくなる。どうして自分が馬鹿であったことをこんなにも偉そうに語れるのか不思議でならない。
最近のことに関してはに関しては目も当てられない。
ただ、この著者がこの時代をこういう風に見ていたというという点だけは面白い。下半身のいうことって大事ですね。

■「ボナンザVS勝負脳」
タイトルが格好いいですね、内容がサッパリ想像できない辺りがミソです。
プロと公式に対戦した将棋AI、ボナンザの制作者と対戦したプロがコンピュータ将棋について語っている本。面白かった。
チェッカーやオセロについては完全に人間はコンピュータに叶わず、チェスも殆ど人間は勝てないらしい。そして将棋もまだまだ人間の方が強いとはいえ、プロに一発入れられるほど強くなっている。
と言うことらしい。プロとしては当然、コンピュータに負けないだろうし、負けないように努力する、ということだろうけど、制作者が考えているようにおそらく将棋もチェスやオセロと同じようになるんだろうと思った。
それに、そのうちきっと僕らが人間にだけ出来る事、と考えるようなことは何でも計算機で実行できるようになり、オセロで人間の理解できない最善手のように、人間が想像できない程の能力になるんじゃないかと、思う。
というより、ならないかなあと希望する。

■「A」
オウムのドキュメンタリー映画「A」を取った著者が、その時のことを書いたドキュメンタリー。オウムの内側から見たとき、外の報道や人間がどう見えたのかということ話。
まあ、わからないでもないけど。
いや、東京で暮らしてからようやく地下鉄サリン事件がどういうインパクトを与えたかというのが何となく想像できるようになったので、ああなるのはしょうがないきがする。いや、メディアがそれで良いのか、という話もあるんだろうけど、なんというか、うーん。
みんな人間でした。という話じゃないかと思った。