2004年08月30日

いろいろ

 先日も書きましたが、近くのレンタルビデオやがいよいよ閉店するので、せっかくだから見れるだけ見てみようと思い、七本の映画を七泊八日で借りてしまいました。まあ一日一本見ればいいんだし余裕だよな、とそう思ったのですが、なんだかんだで見ない日が三日ほどあり、結局二日ほど二本見なければならない日ができてしまいました。
 私はあまり映画を見ないので、見るときは「よし、見るぞ!」と気合を入れなければ見る気になれません。ネットなら何時間でもできるのですけどねえ。そういうわけで、二本も見た日にはなんというか頑張った! という気分になってしまうのですが、考えてみれば映画なんて娯楽で見ているだけなのに、なんで頑張って見なければならないのだろうと、そう思ってしまいます。つまり映画という娯楽を習慣的に楽しむ事ができてないのだなあと、どうでもいい事を考えさせられる一週間でした。映画をみていて確かに楽しいですけどね。なんでだろ。
 
 というわけで借りた映画は昨日全部見終わりました。
 こんなに映画を見ることはあまりないので、せっかくだからメモしておきます。前書いたのは除いて。
 2001年宇宙の旅。
 眠かった。眠すぎた。酒飲んだ後で見たせいもあるとは思いますが、話の進行にあまりかかわりのない映像が延々と続くのはまさしく苦痛でした。早送りしました。当時の科学技術でかのうな限りリアルに作られた宇宙旅行の映像は、衝撃的だったんだろうなとは思うのですが、そんなことは関係なく眠かったです。とりあえず磁力靴は笑えました。
  話の筋自体は結構好みのタイプなのですが。HALとの会話も良かったのですが。それはともかくとして眠かったです。小説を読めば良かったと思います。早送りしました。
 ES。
 実際に行われた監獄実験を下敷きに作られたサイコサスペンス映画だそうです。最近見た中では一番怖かったです。普通の人だった人たちが変貌していく過程がなかなか考えさせられるというか単純に怖いですね。非常にいい映画でした。怖いの怖いの飛んでけー。
 しかしこの映画の売り文句はよろしくないですね。看板に偽りあり。羊頭狗肉。うそつきは泥棒のもと。寝タバコは火事のもと。タバコは不健康のもと。百害あって一利しかありません。
 心理学会に論争を巻き起こし、今も訴訟問題に揺れる心理実験を完全映画化!誰もが予想し得なかった驚愕の実験レポートが今、遂に解き明かされる!
 というかんじのキャッチコピーで、私も信じてみていたのですが、あまりにショッキングな話なので本当かよ! とネットで調べてみたら、確かにベースにはなっているものの事実とはぜんぜん違う話でした。たしかに看守役は虐待行為を始め、映画中行ったことのいくつかは実際に起こったことのようですが、かなり派手に脚色されていおり、事実とはかけ離れた話になっています。だから上のコピーには問題があるのではないかと思います。
 つまり何がいいたいのかというと、タバコは吸ってくれるなということです。
 真昼の決闘。
 モノクロ西部劇。町に戻ってくる、昔死刑判決を受けた犯罪者を向かえ打つために行動する保安官の話。町の住人に協力を要請してもことごとく断られ、結局一人で孤独に迎え撃つことになる主人公。劇中の時間と実際の時間が同じで、非常に緊迫感がありました。時間がないのに人が集まらない焦燥感が強く感じられます。最後戦闘が終わった後の主人公の表情がとても印象的でした。面白かったです。
 しかし決闘というのは通りに二人が向き合いするものだと思っていたのですが、この映画では普通に遮蔽とって戦闘していたのでびっくりしました。邦題で勝手に決闘とつけただけなのかもしれませんけど。
 白い恐怖。
 サイコで有名なヒッチコックの精神分析サスペンス。めがねの似合う美人の精神科医が精神分析を駆使してなぞを解くという、まあそういう話なのですが、胡散臭い夢判断とかを使っていい感じに胡散臭い話に出来上がってます。面白いけど、いいのかこんなので。ちなみに私は精神病患者を治療している精神科医がおかしくなり、精神病を患ってしまうという話だと思っていたので、普通にハッピーエンドになってしまいがっかりさせられてしまいました。深淵を覗く者は、彼もまた深淵に見つめ返されているとかそういう話かと思ってたわけです。めがねの似合う美人の精神病患者でもいいじゃないですか。ねえ。
 鳥。
 鳩が! 鳩が! カラスが! ツバメが! 襲ってくる! 100億の鳥類の恐怖! 果たして人類に未来はあるのか!?
 やっぱりヒッチコック。家を出ると一面に鳥がいるシーンは、ダークハーフのラストにそっくりだなと思いました。まあまあ。
 スパイキッズ
 ロドリゲス監督のエル・マリアッチシリーズとフロムダスクティルドーンが非常に良かったので、違う雰囲気のものはどうなんだろうと思い見てみました。凄腕スパイの両親がついかまってしまった姉弟はスパイとなって二人の救出に向かう、というアホみたいな話なんですが、非常に面白かったです。会話、動作、小物、などあらゆるものが高度に笑わせるものになっていました。とくに小物にはよくこんな馬鹿馬鹿しいものを考え付けるなあ、とうならされます。さすがギターケースにロケットランチャーを仕込む人だ。
 最近借りた中では一番無心で楽しめるものでした。
 以上。
 
 東野圭吾の白夜行を読みました。文句なしで素晴らしい小説だったと思います。謎に包まれた一人の女と一人の男の人生を、二人にかかわった無数の人物の視点から描き出していく話です。すべての発端となった殺人事件のおきた小学校時代から始まり、中学、高校、そして大人になるまで。二人の心理描写は徹底的に省かれ、周りのさまざまな人間の証言だけからその人物像が少しずつ浮き彫りになって行きます。このミステリ小説の謎とは殺人事件ではなく、この二人の男女そのものと、この二人の関係だと思います。はじめ男は単に無愛想な人間として、女は素晴らしい人間として描かれます。しかし様々な人間が彼らに触れ、様々な事件が起こるとき、それら事柄は絡みあい二人はなにかそれだけではない、違和感を感じさせる存在となっていきます。そして過去の事件が解き明かされるとき、すべての事件が一本につながり、二人の人間が鮮やかに描き出されます。しかしもちろん、それは周りの人間がそう思うだけであり、実際にどうであったのかそれはわかりません。それがまたこの小説の素晴らしいところだと思います。
 
 西沢保彦の七回死んだ男を読みました。白夜行が傑作ならこちらは快作という感じの名作。時折、同じ一日を九回繰り返してしまうという”体質”の持ち主である主人公は、正月に起きた祖父の殺人事件を食い止めるために、独り「時間の反復落とし穴」のなかで奮闘する。という不条理な前提のなかで非常に論理的なミステリが展開されます。謎が謎を呼び、食い止めたと思っても繰り返されてしまう殺人事件。少しずつ明らかになっていく事実の果てに驚愕の真実が明らかになります。
 話の根幹にある謎自体も非常に良くできているのですが、祖父の娘たちが織り成す財産の相続騒動も、妙に達観した主人公の視点から非常に滑稽に描かれ、おかしかったです。とにかく相続権を得ようと醜く必死になる母や叔母を、非常に冷静に見ている老成した主人公。と思ったら殺人事件をとめようとしながら恋に落ちたり失恋したり切れたり投げたくなったりと若々しかったりするので、ギャップが妙に面白い。登場人物がみな一癖もふた癖もあり、それがとにかくドタバタと動くのでそれを読んでいるだけでも非常に楽しめました。
 この小説の結末というかオチというか、はなかなか必読だと思います。
 
 ICOをクリアしました。いったいどんなエンディングになるのかとわくわくどきどきしながら遊んでいたのですが、期待に違わぬ素晴らしい結末でした。
 とにかくこのゲームはヨルダさんが素晴らしい。うん。しかもヨルダだけでなくイコも良い。よいよい。
 今は二週目に入り、ヨルダがいったい何をしゃべっていたのかを追っています。とにかくスイカを割るまでは頑張るしかない。
 ヨルダさーん!
 今度宮部みゆきの小説版も読んでみようと思います。