そんな日。
そういえば、もうすぐで終わりだったなあと思って、男鹿和雄展に行った
ら、平日の昼間なのに、ロビーは人で埋まっていて、今並ぶと六十分で入場できます、という中々挑戦的な看板が掲げられていたので、多少逡巡したけど、さすがにねーなと思って諦めてパンフレットだけ買って帰ろうと思った。
学生ならともかく、結構なトシの人たちが、なんでこんな昼まっぱらから美術館に来るかなあと思うんですが、特に不思議はないです。もうちょっと早めに行こうねという事なんだと思う。
しかしそれだけで帰るのも寂しかったので、近くのシネコンでやっている新劇場版エヴァをついでに見てきました。
いやーよかった。なんか凄い良かった。泣けた。TV版にはあまり思い入れも無い僕ですらこんなんなので、これは好きだった人にはたまらないだろうなあ。
感想としては大体出尽くしてるような気もするんですが、とりあえず思ったところを適当に。今更ですが。
とにかくディテールが凄い。書き込みもそうだし、コレも動くのかって言うところまでキッチリ動く。CG万歳。ラミエルなんか顕著だけど使徒も全般的に良い感じで良くなってる。というかラミエル凄すぎ。
ディテール目当てで見に行ったんですが、それだけでも十分価値があったなあと思う。画面の説得力が全然違う。断然良し。
TVシリーズの重要なところのみを残して話を作っているので、最初から最後までだれることなくテンポが良かった。ハイライトのヤシマ作戦をキッチリ山になるよう上手く持ってきているので、すごい盛り上がりました。ヤシマ作戦はテレビ版と大分演出が変えられていて迫力が増している。最初のN2爆雷の時も思ったけどこの辺は劇場でこその迫力だよなあ。音響とか。
あと人類補完計画等、物語の根幹に関わる設定が早め早めに出てて良かった。エヴァって使徒迎撃と人類補完計画が話としてあんまり繋がってない気がするので、その辺今回上手くやってくれそうなので。
キャラクターの性格も少しずつ変えられているように思えた。シンジがテレビ版ほど後ろ向きというか鬱陶しい性格ではなくなり、状況を考えればわりと自然な反応だと思えるようになった。あとミサトが凄い良かった。シーンが追加されたせいかもしれないけど、ミサトがシンジに対して思っていることがリアルに感じられて、なんかこう、ちょっと涙腺がゆるみそうに。ヤシマ作戦の前のやりとりとかホントやばかった。いかん、コレでなく人はいないだろう! 常識的に考えて。とか思ってました。いや、ちょうどイリヤの空の3巻までを読み返していたところだったので、椎名真由美とミサトが脳内でガッチリリンクして保健室フルボッコシーンが浮かんでしまったからというのもあります。過剰な責務を押しつけざるを得ない立場というのはワーという気分になります。そういう意味ではシンジよりミサトの視点が胸に来る。
家出したシンジをスネークするMIBがダンディー。
他は……特に違う印象は今のところ感じなかった。やっぱりゲンドウはよく分からない。この人なんか無能な司令官に見えるのは僕だけでしょうか。
それはともかく。
テレビ版を見たときにもエヴァの導入って腑に落ちず、今回映画を見たときもやっぱり腑に落ちなかった。そのせいで最初の方はあんまり身が入らなかったんですが。
なんというか、シンジが呼ばれてすぐ急にエヴァに乗せられるというのが、やっぱり不思議。うーん。いや、僕もあんまりエヴァに詳しいわけではないので理由があるのかも知れないのですが、一応。
とりあえず、ゼロ号機の機動実験に失敗してレイが大怪我したから、替わりのパイロットとして呼び寄せられた。そしたら使徒が来ちゃったので、乗せちゃったのかなあとか思ったんですが、それはそれでおかしいよなあと。
使徒が必ず来る。使徒はエヴァでしか倒せない。エヴァは特定の子供でしか動かせない。というのに、手持ちのパイロットが一人しかいないという状況でずっといたというのは変じゃないかなあと。もともといっぱいパイロットいたけど、減って減って一人になっちゃったのでしょうがなく呼んだ、とかなら分からんでも無いんですが、特にそういう描写はなかったと思うし。
一人しかいないんだと、そいつが使徒が来た瞬間に階段で足を踏み外して頭を打って重傷とかなったらどうするんだよと。いや、レイはいっぱいいるよ! とかなしで。それこそ何でシンジを呼んだんだろうという感じになるし。人類補完計画との絡みとか? よくわからん。
多分ちゃんとした設定はあると思うんですが、そういうのは積極的に出して欲しいなあ。
あと何度見てもリツコ博士の「歩いた!」は面白い。なんか、クララが範馬勇次郎と戦おうとしている時に「クララが立った!」って喜んでいるような感じ。
いや、暴走前提なんでしょうけど、なんかね。
なんくせ付けてはいますが、かなり良かったのは間違えないです。こんなに楽しめるとは思っていなかった。なんだかんだいって全部見に行く様な気がします。
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エヴァの影響を受けた作品としてはイリヤやEDENが結構好きだったりします。イリヤもエヴァもエヴァの地に足の付いていない投げっぱなしな部分を排して細部のリアリティを徹底的に重視することで、とんでもない設定に血肉を通わせているところが良い。そういう意味で投げっぱなしだった部分を更に投げはなったラーゼフォン(映画版しか見てないけど)とかはちょっとどうかと思う。
イリヤとEDENではそれぞれ使徒迎撃と人類補完計画を元にして作られていると思う。
イリヤはエヴァの使徒迎撃の部分を、主人公をケンスケのように傍観者として、最初から最後まで事態の中心にいることができない人間にしているのが好きだったりする。シンジがレイのクラスメイトでしかいることの出来ないという感じ。
EDENは意味プーな人類補完計画を解釈し直し、キッチリしたモノにしているだけでもうOKです。いや、どっちかというとSFの流れで読んでしまうけど、作者がエヴァからの影響をキッチリ明言してるので。
んーエヴァの新映画をみて、改めてこの辺に与えた影響というのを感じたのでなんとなく。