2008年09月23日

のほほん

■「ノーベル賞受賞者の精子バンク」
天才の子供は、果たして天才か。
人の才能はどの程度遺伝子に左右されるのか。生まれつきのものなのか、育ちによるものなのか。
遺伝か環境か。

優生学に基づく政策なり行動なりは積極的なものと消極的なものがあるようで、積極的な優生学ではは「劣った」と思われた人間が子孫を作らないように去勢手術を施すなどする。極端なところでは、ドイツのナチスがやったような所に行き着く。
百年前ならともかく、さすがに現在では公にそんなことを云う人間はいない。
一方、消極的なものでは、優秀な人間の遺伝子を残そうとする。大きな声で優生学を叫ぶことは出来ないだろうが、子供に優秀であって欲しいと思わない親はそうはいないと思う。そういった考えの分かりやすい現れが、このノーベル賞受賞者の精子バンクと歌われた「レポジトリー・フォー・ジャーミナル・チョイス」である。
この本は、この精子バンクの成り立ちと行く末、そしてこの精子バンクで生まれた子供たちなどを取り上げたドキュメンタリー。

精子バンクはプレイヤーが多い。精子バンクの運営者、精子を提供するドナー、それを買う母親、生まれた子供、など様々だし、それぞれの中でも全く違った人間が全く違った考えの基に行動している。
ドナーの自分の「子供」に対する態度など、それぞれの人物がどういう人間だったのかという事を少しずつ明らかにしていく過程は面白いし、この精子バンクが出来た歴史的背景など興味をそそられる話題は多かった。考えさせられる内容でもあった。

個人的には本の中では精子バンクの運営者であるロバート・グラハムが一番面白いと思った。プラスチックのレンズで大きくあてたような人間が、現在のような恵まれた世界では淘汰が働かず「劣った」人間が増え、世界がダメになると云う考えにとりつかれ、優秀な人間の子供を増やすべく、奔走すると言う様は、引いてみると笑ってしまうようなものではあるのですが、はしばしから、当人の優秀さと魅力と謙虚さというのが見えてきて憎めない。
崇高とも言える理想の元に行動しながらも、ビジネス的な感覚を忘れず、そして結果として不妊治療の主体を患者の方に移し、精子バンクを大きなビジネスにしてしまったという「結果」には何とも云えず面白い気分になる。

子供の優秀さが遺伝か環境かと云われると、個人的には環境の方が大きいのではないかと思う。というか足し算というよりはかけ算なのか。そのあたりは双子などを追跡調査した研究などがあるのではないかなあ。どこかに。
あと遺伝に拠るところにしても、並外れた知性の子供は、結局平均への回帰が起こると思うので、こういった取り組みはそれほど意味を成さないのではないかと思う。まともな取り組みすら出来てなかったようだけど。

ただ、本の中の最後の方でも書かれているけど、そのうち直接遺伝子を操作して子供をデザインするような時代は来るのではないかと思う。もしそれが本当に出来るようになれば、倫理的な反発は最初あったとしても、そのうち受け入れられることは間違いないだろうな。最初は病気が遺伝しないようにと云うところからはじまって、そのうち知性に関わる部分に行くだろう。あるいは子供が同性愛にならないようにする、みたいな事もなるだろうし、そうなると倫理的な問題にガチでぶつかる。イーガンの「繭」や、「暗闇の速さはどれくらい」に出てくるような問題が噴出するかも知れない。
そうなったら、色々面白いだろうな。

■「百億の星と千億の命」
科学エッセイ集。後半は環境破壊や地球温暖化の話が中心となっている。

地球温暖化は反駁も多いみたいですが、実際は進行しているのだろうなあと思う。だって専門家がみんなそういっているから。マジです。
結局の所、全分野自分で理解し判断できるほど勉強するわけにも行かないし、知らない分野については専門家の云うことを正しいと思うべきなんだと思う。一番問題なのはその専門家がほんとうに専門家なのか。妥当な経歴を持っているのかと云うことと、多数決。
言う人がその分野で発言できる人なのかを調べるというのがやるべき事なのだと。
専門家の多数決が、その時点での外から見た科学的な事実だと思う。長期的に見ればそれで正しい結果が得られると信じている。
もちろんクラークの法則みたい話はあるし、あくまで長期的に見れば、という事ではあるのだろうけど。

■「おまえが若者を語るな」
九十年代から現在まで続いている若者論をバッサリ切り捨てている批判本。なんだけど、僕がこのあたりの議論に無知なので、なんともいえない。宮台真司も東浩紀も読んだこともなし、読む気にもならないしなあ。ただ、ネット上である程度おこなわれるように見える俗流若者論的な言説への気持ち悪さがあり、読んでみた。あ、ゆとり世代批判とかね。
内容は宮台真司らの言説が、「レジーム」に基づいてばかり議論し、実際のデータを使って実証しない、するきもない、ものであり全く真の置けるものではないのに、そんな言説が色々影響力持っているってどうよ! というのを具体的な若者論を引用しつつ批判している。
ようは若者論は適当な概念をこねくりだして名前を付けてそこから演繹して、事件やら若者やら世間やらを妄想し、その正しさを一切検証しない、させないのである、というお話です。そしてそういう言説が
個人的にはネットで見るような若者論は、単純に論者の自分語りにしかなっていないという印象があり、そんなものかなあという気はする。実際のデータや統計を使わずに社会を語る、というのは滑稽ではあるけど、でもそんなのばっかりだよなあ。

しっかし本の中で、とくに前半部分で引用されている批判対象の文章の意味が全然分からないのには参った。もちろん引用の仕方が悪いのかも知れないけど、それにしたって、もうちょっと伝える努力をしてよと思ってしまう文章だった。珍奇な言葉をひねりまわすのは、言葉遊びとしてはいいのかも知れないけど、人に伝えようとするなら可能な限り平易な言葉を使うべきだろうに。偉そうなラーメン屋じゃないんだから、読者に過剰な努力を強いるなよ。と思う。とりあえずあんまり新しい言葉を作らないでくれ。

や、もちろん引用もとに当たれば、物凄い分かりやすい可能性もないわけではない。


批判の内容に関しては大筋では納得できるけど、ただ批判が手を広げすぎであるという印象を受ける。もうちょっと絞っても良かったのではないかと思う。特に章末の「ベストセラーを切る!」など何故コレを取り上げるのか不思議になる。「ウェブ進化論」に俗流若者論を見られるかも知れないけど、さすがに枝葉末節すぎるだろうに。

あと、次から次へといろんな人の言説を取り上げて、バサバサ切っていくのは、もともと若者論に対してある程度造詣が深い人間を対象には良いのかも知れないけど、正直僕のような人間には辛い。批判対象を減らして、もうちょっと深く説明してくれるとありがたかった。

■フレドリック・ブラウン「天の光は全て星」
フレドリック・ブラウンの長編が再販と云うことで買ってみた。今回の「強い物語」フェアで再販された本や、装丁の変わった本の表紙のデザインが雰囲気があっていい。映画のコンセプトデザインみたいな表紙になった「地球の長い午後」はもう一冊買っても良いかなあと思わず思ってしまった。コレはこらえたけど、「闇の公子」は買っちゃった。三冊目だよ。

元宇宙飛行士が、宇宙開発を公約に掲げる女性議員の立候補のニュースを見たこときから、再び宇宙へ行くべく行動を起こす物語。
宇宙開発が停滞してしまった世界で様々な困難に当たりつつも、一つ一つそれを乗り越え星への道を切り開いていくという、シニカルな話を書くという印象が強いフレドリック・ブラウンにしては恐ろしくロマンチックなSFだった。相変わらず書き口は冷酷ともいえるのだけど、それでも熱くなる。自分の夢のために全存在をかける人間、というと若者の物語を想像させるが、そこに六十近い主人公を置いたことで、単純に夢を追うだけの物語ではなくなっている。それによる悲喜劇はブラウンらしいと云えばらしい。

あと五十年以上も前に書かれたSFとは思えないほど新しく感じた。特に宇宙開発をめぐる状況のあたりは。個人的にはそのあたりを実際に打開しうるのは軌道エレベータかなあとおもうが、それはどうでもいいですね。はい。


五十年前から見たとき、西暦二千年というのは、こういう風に見えたのかなあ。
そして今、二千五十年を同じように見ている自分がいる。

■「リスクテイカー」
今度は金融、特にヘッジファンドと云うことで、一作一作全く違う領域のネタを持ってきて、綿密に取材をして、面白い話を書く川端裕人は凄いなあと思う。
内容の細かいところは半分も分からなかったけど。
ここ最近米国で色々あって色々大変というお話が出てきているのですが、どうなってるんだろう。

お金って何かなあ、というか価値ってなんなんだろうなあと、思う。あんまり考えても仕方がないんですが。金にしたって媒介物として都合の良い性質を持っているというだけだよなあ。お金があると、こうこうこういう便利なことがある、というのは分かるんですが。至らない頭で考えていると、どうにも景気不景気というのがなんだか不思議な気分になる。
そして勉強する気はない。

■川端裕人「クジラを捕って、考えた」
作者が実際に半年間調査捕鯨船に乗って取材をしたルポルタージュ。
半年。幾ら鯨やイルカと、捕鯨に興味があるからと云って半年完全に日本を離れ、かつまた情報からも隔絶される取材にでるというのは凄い。こういう取材力があるから様々な分野でよい小説がかけるんだろうなあ。

捕鯨に関しては色々ニュースを見るけど、状況としては書かれた当時と今であまり変わっていないような気がする。グリーンピースなニュースとかIWCのニュースとかぽちぽち見るけど、実際に調査捕鯨をやっている現場からの視点というのは新鮮で面白かった。

クジラは賢いから取っちゃダメ、と言うような議論はあまり納得できないけど、生態系が変わるから、というのはまあ、そんなもんかなあと思う。しかしそれに関して云うなら調査捕鯨より危機的な場所って幾らでもあるよなあ。いや、そのあたりも活動してはいるんでしょうけど。

そのうち鯨肉が食えなくなる日は来るのかなあ。
一度ぐらい喰っておくかなあ。

■「エレンディラ」
魔術的リアリズムの代表的な作家であるガルシア=マルケスの短篇集。どれもこれも荒唐無稽でありながら不思議なほどの現実感がある。この世界のどこかでは、本当に天使が堕ちてきて、見せ物になっているのではないかと思わされる。なるほど、魔術的なリアリズムだ。こういう視点で世界や歴史をみていた人たちがいるのかと思うと興味深い気分になる。
訳者の解説が、また面白い。過去の出来事がどうやって神話に変容していくかという過程が進行形でみられるというのは興味深い。
「族長の秋」も文庫であるみたいだし、買おうかなあ。

■「青年のための読書クラブ」
時々桜庭一樹が読みたくなる。
幼稚園から大学までの一貫校である格式あるお嬢様学校の、読書クラブを舞台に、戦後から近未来まで起きた幾つかの事件を書いた短篇集。事件と云っても勿論殺人事件といったものではなく、「烏丸紅子恋愛事件」とか「聖マリアナ消失事件」とかそういった類のものだ。
舞台設定からして、どうもマリみてを思い出してしまうんですがあちらが完全にファンタジーで綺麗な夢物語であるのに対して、こちらはもうちょっとドロドロしているというか、少女とその集まりののグロテスクさというものを取り扱っているように思える。ファンタジーはファンタジーなんですけどね。
魔術的リアリズムの香りを感じる。いや、そのものか。

この手のお嬢様学校を舞台にしたお話というかエス小説の類の系譜ってどうなっているんだろう。あんまり興味はないけれど、また面白いのがあれば読んでみたいなあ。森奈津子みたいなのも面白いから良いですけど、もうちょい主流っぽいので。

■「日本のいちばん長い日」
ずいぶん前に親から薦められて実家から拝借してきたまま読んでいなかったけど、コミティアのあの、奇妙に長い四時間の友に持って行ったら、面白いのなんの、あっという間に読んでしまった。
歴史の転換点では色々なドラマがあるんだろうなあと、そんなのんきな感想。
外や後から見ると、何をやっているんだとか、アホかいなと思われるようなことでも、みんな基本的にはそれぞれが最善だと思うことを、真っ当にやろうとしているんだろうなあと思う。最善だと思うことは往々にして異なるんだろうけど。


■「とらドラ! 8」
話がどんどん動いてくなあ。
どうでも良いけど最初の方では櫛枝実乃梨がアホの子なのではないかと心配してしまったが、そんなことはなくて良かった。この人の書く人物は極端なようで、それぞれ一物二物腹に持っているから楽しい。

アニメ化もするし、もっと人気が出てくるんだろうなあ。

■「わたしたちの田村くん」
とらドラ!が楽しいので読んだけど、うん、僕竹宮ゆゆこ好きだわ。想像していたのと違って、ガチで三角関係のお話。
デビュー作も変わらずキャラが素敵なのでいいなあ。

■「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」
美人でおしゃれで兄のことを相手にもしない妹が、実はオタクでした!! 相談を持ちかけられました、どうしよう!? という、しょうもないと云えばしょうもない設定。売れ売れらしい。
内容は、葛藤とか仲間とか兄妹愛とかで、実のところ結構面白かったです。売れるのは分かる。表紙もいいし。綺麗に完結していると思ったけど、あとがきをみるとシリーズ化するのだろうか。

あと、199Pの左上のタイトル表記がきちんと印刷されていないけど、コレは僕のだけなのかなあ。


■川端裕人「エピデミック」
「動物園にできること」では、動物園についてアメリカでのしっかりとした取材をもとにバランスの良い議論をしていて、あの動物たちのオリの裏では、こんなに面白いことがおきていたのかと感嘆したものですが、この社会にあって僕たちからは見えないモノを、分かりやすくかつ面白く見せる作者の力量は、ドキュメンタリーではなくこの小説でも存分に発揮されていました。
タイトルの意味は「疫病」
海に面した日本の地方都市で、発生した謎の感染症のの爆発的流行に対して、疫学を「武器」に戦う科学者の物語。発生源も分からず、不気味に広がる病気に対してあらゆる可能性を考慮しながら原因を探り続ける。一歩対応を間違えればパンデミックになるようななかで、感染症を食い止めるという明確な目的が有りながらも、各人の思惑の違いから混沌の度合いを増していく状況をどう打開するか、というお話。とにかく緊迫感があり引き込まれる。本に一気に読まされる感じ。
いろいろな要素が多重的に絡まっているのですが、その中心に疫学があるので全くブレがない。物凄いよく調べてあるのだと思いますが、疫学に付いての描写が非常にしっかりしていて物語を盛り上げる一要素なんかではなく、むしろ物語の主人公そのものであると言えます。人なんておまけですよ。
疫学という科学の一分野をここまで綿密に描きつつこんなにも面白い小説があるのかと感嘆してしまいました。ドキュメンタリーでも同じですが、独りよがりのない対象に対する誠実な書き方というのは凄いなと思います。疫学も実践の場では相当いろいろな問題を抱えるのでしょうけど、そのあたりをごまかさず、かつ面白く書いている。だから、こんなに楽しく、ワクワクさせられるんだろうなと。

煙草を題材にした「ニコチアナ」が文庫化しているようなので、これも読んでみよう。

■「完全独習統計」
確率を使わずにt検定までを勉強するというなかなか挑戦的な本。読んだときはおおーなるほどーと思ったけど、今何も覚えていない自分がいる。
手を動かさないとダメね。

あと、教養時の授業でやったことをものの見事に忘れている自分に驚愕を覚えないでもない。そんなものですが。

■「数学で犯罪を解決する」
知らなかったのですが、様々な数学を駆使して事件を解決する、「Numb3ers」という米国のドラマがあるそうで。その中で使われている数学を解説している本。ドラマだからと云って適当なものではなく、実際に犯罪を曝くのに使われているものであり、いかに数学が強力な武器になりうるのかというのを知ることが出来る。内容は結構幅広く、統計やデータマイニングといったものから、画像分析、DNA分析、暗号、ネットワーク分析など多岐にわたっている。個人的には指紋の証拠としての妥当性を数学で検証する章は興味深かった。
数学なんてなんの役に立つんだという疑問には、非常にわかりやすい答えになるのではないかと思う。

■「虚空の旅人」
精霊の守人シリーズの文庫版の最新刊。今回は主人公がチャグムと云うことで、ナユグなどのはなしはそこまでではなく、どちらかというとサグでの政治の話が主になっている。もちろんナユグも絡んでくるけど、それは政治の結果現れるもので、あくまで人と人の関わりで物語が動いている。そのあたりがこれまでの三作と大きく違っているように思われた。
舞台も、新ヨゴ王国でもカンバルでもなく、また過去の話でもなく、未来に開けた話であり、ここからシリーズがどう展開していくのかかなり気になる内容だった。

■「絶対可憐チルドレン」
最近何かラノベが買いたいけど、買うものがないときはガガガ文庫から適当に選んでいる。これまで買ったノベライズはどれも外れがなかったけど、コレもやっぱり面白かった。上手く原作の雰囲気を出しつつ、オリジナルな物語を展開している。あと椎名高志の絵がやっぱりいいなあ。

ガガガ文庫ははじまって間もないと云うこともあってか割と何でもありな感じで面白い。電撃とかも昔はもうちょっと無秩序な感じだった気がするけど、今は全般的に売れ筋に偏っているしなあ。せいぜいみーくんシリーズぐらいか。
そのうちガガガも落ち着いてしまうんだろうか。

■「今世紀で人類は終わる?」
なかなか衝撃的なタイトルですが、そういう内容。

これまでも例えば核戦争による人類滅亡の危機が真剣に考えられてきたが、それは米ソという二大大国がどうするかという問題であり、それぞれの個人がどうこうきるものではなかった。しかし科学技術がより進展することで、例えばバイオハザードなど小規模な施設あるいは個人でさえ人類を滅亡させることが出来るようになってきている。
それは例えば宗教的な動機から来るテロかも知れないし、あるいは何らかの実験のミスによるものかも知れない。しかし今のように世界中で人の行き来が活発になった現在、伝染病の危険性は過去の比ではない。
あるいは自己増殖するナノマシンがグレイグーとなるかも知れないし、CERNでやっているような物理実験が思いも起こさないような影響を及ぼし、猫の揺りかごのように世界を不活性なものに変えてしまうかも知れない。
人間がなにかしなくても、宇宙から巨大な隕石が振ってくるかも知れない。
そして勿論、温暖化などの従来の危機は厳然と存在する。

さてそんな危険性が存在すると考えたとき、いったいどうするべきか、何をするべきか。少なくとも、楽観的に世界は良くなるよ、と言っていられるばかりではないというお話。宇宙にでて地球が滅んでも人類が滅びないような保証を確保するべきだという考え方はなかなかロマンがあって良いですね。

■「生徒会の一存」
生徒会で美少女四人と男一人がだべっている話。薦められたし、どっかのサイトで良く書かれていたので読んでみたけど、正直よく分からなかった。
これで主人公が全身全霊で嫌われていたら、また面白くもあったのだけど。

■「少女には向かない職業」
時々桜庭一樹が読みたくなる。
「砂糖菓子〜」と同様わりと憂鬱な気分になると云うので読んでみたけど、それほどでもなかった。道具立てとしては「青の炎」に似ているけど、あっちのほうがガッツリきたので、比較しながら読んじゃったからかもしれない。
というのでどちらかというと桜庭一樹が書く少女が面白いなあと思いながら読んでた。この人少女を中心に話を書くことが多いけど、いつも他で読まないようななんともいえない印象を受ける。現実的なような気もするし、ファンタジーなきもするし、いやしくも見えるし貴くも見える。捕らえどころ無く感じる。
ただ、清いというかなんというか、性的な雰囲気は感じない。倒錯したいやらしさを感じるときはありますが。
そういえば直木賞をとった作品は読んでなかったなあ。そのうち文庫化したら読んでみよう。