2006年01月24日

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ペンの練習。

あとSFの感想

カート・ヴォネガット(いつの間にかジュニアがおちてる)のガラパゴスの箱船を読了。おもしれー。朝読み始めて、そのまま読んじゃった。大学行くのが激しく遅れる。
ヴォネガットは、タイタンの妖女とローズウォーターさん、あなたに神のお恵みと併せて三冊しか読んでいないんですが、どれも凄いおもしろい。おもしろい上に独特の味わいがある。超越的な視点が人の人生をシニカルに書く物語は、淡々と描かれていながら、盛り上がれ的な文章よりもよほど心に響きます。
とくにこのガラパゴスの箱船は現行人類の発達した巨大な脳は、進化の大失敗作であるという一つの仮定の下、人類が地球上からほぼ滅びた後、たまたま生き残った人々がガラパゴスの一つの島で百万年かけて"生きるのに最適なように"進化していく、というなかなかすてきなお話です。こういう話やっぱ大好きだわ。うん。

あとマイク・レズニックの第二の接触もよんだー。これも面白い。キリンヤガや、パラダイスを読んだときは、しんみりした話を書くのが得意な人だと思っていたけど、エンターテイメントも物凄く上手い。僕が読んだSFの中では一位二位を争います。SFとして高い評価を受けるのは、むしろバランスの悪い何か突き抜けた部分があるところなのですが、読んで単純に面白いのはこっちの方ですね。
で、この第二の接触は前読んだサンティアゴには一歩譲りますが、ストーリーの引きつける力はさすがです。予定調和的な終わり方も、悪くない。でも全体的にサンティアゴの方がずっとよかったですね。

わりと前に読んだのでは、ウィル・マッカーシイのアグレッサーシックスというのが非常によかったです。設定はありがちな異星人とのミリタリー物です。異星人との戦争物というジャンルは個人的には今ひとつ好きではありません。異星人というか地球外知性は人間には全く理解できない存在である、というのが僕は好きなのですが、戦争物では戦争する以上、利害ができる程度には理解し合っていなければならないので、好きになれる物があんまりありませんでした。というか好き嫌いを語れるほど読んでいませんでした。宇宙の戦士も途中で止めたし。
しかしアグレッサーシックスはその辺の落としどころが非常に上手く唸らされ、楽しく読み終わることができました。理解できない地球外知性の接触はレムのソラリスが在るわけだし、そこで終わるのもつまらないのでこういう上手い折衷アプローチを読むのはうれしい。タイトルと表紙からB級臭を感じ期待しないで読んだのですが、いい買い物でした。この作者の他の本も早く翻訳されて欲しい。