2006年03月20日

それは零の楽しさを持つ

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面白くない。全く面白くない。
どこも面白くない。誰かがこれで楽しむところすら僕には想像できない。そういった意味でこの漫画は徹底している。完成しているといっていい。
466ページにわたって究極のつまらなさを徹底したこの漫画は、今の僕にはある種の芸術性すら帯びているような気がする。そう何かを突き詰めることが芸術に結びつくことがあるならば、これは紛れもない芸術だ。
僕は感動した。
ストイックなまでに誰からも評価され得ないつまらないギャグマンガを追求し続ける作者は孤高の求道者とも言えるだろう。その466ページにわたるどのような視点から見ても評価をすることの出来ない漫画を僕は賞賛する、ことはありえないが、この作者の時間の浪費に僕は感動する。自分が信じるものを追い求めているが、その追い求めているものが哀しいまでに誰の心にも届かないものであることに気がついていない裸の王様の作者の生き様は、何かしら胸を打つものがある。
常に新しいものを求めながら常に同じようにつまらないギャグを提供し続けるクソまずいラーメン屋の親父のような作者に、ナンセンスギャグを描いているつもりなのだろうけど、センスがないギャグにしかなっていない作者に悲しみを覚える。もしかしたらギャグのつもりかもしれないが「星雲賞」頂戴などといっている作者に一人のSF好きとして強い不快感と怒りを覚える。このような漫画にタイトルを使われ名前を汚された小説にたいして僕は強く不憫だと思う。
しかし何より哀しいのは1300円を出してこの漫画を買ってしまった僕である。
金返せ。