2006年06月19日

捨てる片付け

捨てるのもまた創造である、という趣旨の某小説の一文を読んで、目の鱗が落ちました。これがアハッ体験だろうか。引き算は創作において非常に大事な要素なわけだし、言われてみれば当たり前なんだけど、ハッキリと指摘されないと漠然としたイメージがあるだけで、理解できていなかった。
部屋の片付けのどこに創造が有るのかと言われそうだけど、確かに創作でも芸術でもないけど、僕にとっては非常に重要な、生活を形作ることだと思います。机の上の汚い小説家が成功することは少ないみたいなことをクーンツも言っているわけだし、部屋のきれいさ、と生活の質あるいはその他の物は相関関係があるのではないかと思う。片付けること。捨てること。というか片付いた部屋にすむのは非常に気持ちが良いし、だからその状態をずっと保ちたいと思う。
とは言っても、出家した坊主でもあるまいし、物欲を完全否定することは出来ません。いきなりひよりかよとか思われそうだけど、現実問題考えると極論は長続きしない。そのため僕の心が長期にわたって許容できる範囲内で、捨てるために超えなければいけない心理的な閾値をどう下げていくかが問題になります。
つまり自分の物欲をハッキリと認識し、何を捨ててもソレが文句を言わないか、ということを明確に理解しなければならないんだと思います。実際の所ほとんどの物は捨ててもどうって事はないんだとは、思う。しかし思うのと実際に捨てられるかはまた別です。
こういった物を捨てることに対する心理的な障壁をどうにかしなければならないわけです。
例えば上のように実際には捨てても問題ないけど、何となく未練が残ってしまう場合は、そのものに対して準処分期間みたいなものを作ればいいのかなと思います。いま事実上そんな感じになってるし。つまり、個々におかれた物は将来処分する、といったゾーンをどこかに作って、とりあえず未練が残っている物をそこに置いておく。おいておくと、自然と未練も消えていきます。それでなお未練が消えない物はとりあえず残しておく。
という緩衝期間をおいて捨てると、割とすっきり捨てられるような気がします。
結局問題となるのは僕の心理的な躊躇、後悔の予感だけな訳で、ソレをどうやり過ごすか、と言う点でうまくいくやり方を見つければ良いんだろうな。緩衝期間なんてのはその一つのやり方なわけです。
しかし、なんで人一人生きていくだけで、これだけ物がたまってくんでしょうね。発狂しそうですよ。立って半畳寝て一畳、とまでは言いませんが、もっとシンプルに生きられないモノかと思います。
昔モノを大切にしたのは、モノが貴重だったからで、モノが過剰な今は、モノを大切にする技術ではなく、モノを捨てる技術が大切! ということなんだろうなあ。

そりゃ持続可能な社会とかそういう話をすれば、こういう考え方は適切ではないと思いますよ。でも個人レベルで考えるとそうなんですよね。情報と同じ。いかに本質的なモノだけを残すか。情報ならぬ、物フィルタリング。語呂の悪いことで。しかしまあ、情報と違って爆発していないのが幸いではあります。


って色々捨てることに腐心しているけど、捨てなくったって本当は片付いた部屋を持続させるのなんか簡単なんですよね。持っている全ての物に有るべき場所を設定して、常にそこに有るようにする。だしたら、しまう。それだけ。
簡単じゃないね。
ここで問題になるのは当然、全ての物にあるべき場所を設定する、という所な訳です。適切な設定を行わなければ、この部屋を使っている人間が怠惰である以上、たとえ最初は片付いたとしても、しまうのが面倒くさくなる、適当にしまってしまう、等という行動が積み重なることで、結局は最初と変わらないぐらい汚くなってしまいます。出してしまうのが容易、という部屋を作るためには、物を使う頻度などを考えなければならないのですが、それにまして余裕というのが大事になるんだと思います。余裕というのは、すなわち存在する収納スペースから持っている物がしめる割合を引いた物です。コレが低すぎると、たとえ最初は鮮やかに片付いたとしても、余裕が内分出し入れが面倒くさくなり、かつ新しい物が増えたときに余裕がないため、適切にしまうことが困難になります。
というわけで、コレを解決するためには、収納スペースを増やすか、物を減らすか、というのが大事になります。もちろん前者も大切です。デッドスペースをなくし、いかに要領よく収納スペースを確保するかというのは、片付けにおいて最も重要な要素の一つでしょう。しかし、部屋の大きさが一定である以上、収納スペースを増やすことには限界があります。また、本棚を増やすなどして収納スペースを増やすのは有効ではありますが、一方で部屋の空間を狭くすることで心理的な圧迫が増えることにもなります。ただ単に増やせばいいという物でもないわけです。
というわけで結局一番適切な解決方法は物を減らす、増やさない。という事になるんだと思います。物の種類に応じた適切な整理方法というのももちろんもの凄く重要だと思います。整理法の本を買うなり、収納上手の人の話を聞くなりして、そういうノウハウもためないといけないんだろうなあと思います。
ただ、それも物を捨てるという原則の下で考えることなんだと、思います。物が多ければどんな収納上手も片付けることは出来ません。
というわけで僕は捨てるために必要な心理障壁迂回技術をダラダラと考え続けているわけです。
合い言葉は、もったいなくない! 
もったいなくなるような物は手に入れない!