2006年06月30日

ニート

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授業中の落書き。こういった方向性も、使えるパターンを増やして具象的なものと上手く組み合わせられるようにすれば、もうちょっと形にはなるのかなあとは思うんですが。


今日朝起きて、すでに部屋が汚くなり始めていることに愕然としました。あれだけモノを捨てたのに……と思ったんですが、”あれだけ”捨てようが基本的にモノが多いんですよね。オタクだから。
オタクではない人の部屋とか本当にモノがなかったりして驚いたり、これなら片付いて良いなあと思ったりします。本なんか本棚にちょろっとあるだけだったりしますしね。家で何してるんだろうとか思ったり思わなかったりします。あんま家にいないのかな。テレビ見ているのかな。

というわけでさらにいくつか捨てた後、部屋の片付けをしました。
片付けてたら輪講用の資料を作るのが遅くなって、研究室に行くのがぎりぎりになったわけですが。そういえば最近ようやく理系らしくTexを使い始めました。楽なところは一太郎使うより楽なんですが、数式とかがよっぽどしんどいです。マジで。挫けそうになりました。Windowsで使える入力支援のある良いTexエディターないかなー。
と思った昨日の夜と今日の昼。
Meadowとか入れると幸せになれるのかなあと思ったりもします。面倒なので入れていない。のど元過ぎればなんとやら。


最近というか卒論の時もそうだったんですが、僕はテスト勉強以外勉強をしたことがなく、これまでずっとそれだけで切り抜けてきたので、研究のために勉強しなきゃ、といわれるとはたと困ってしまったりなんなりする去年と今年です。去年は適当にごまかしつつ、漫画なんぞを書いていたわけですが、今年はさすがにそうも行かないだろうし。
と思いつつあまり関係ない本を読んでいるんですが。まあ、さすがにSFは少し自粛しようとは思います。そして整理法の本を読んだりする。研究関係ないや。


しかし三千円のハードカバーとかをためらわずに買えるようになってしまっているので、たまった本がジャマー。文庫も新書も定型だから良いんですけど。いや、ハードカバーだって大体定型ですが、でかいんで。文庫もデュアル文庫とかダニエル・キイス文庫とかは今まさに殺意がわいた。


「ニート」って言うな! を読んだー。昨今のニート言説に反対する本。三人の人間が分担して書いているんですが、全体の構成とかはあんまり考えてないので散漫な印象も覚えるんですが割と面白かった。基本的にはニート言説がおかしいという話なんですが、そういう世論が出来る土壌みたいなのにもある程度踏み込んでる内容です。というかそっちがメインなのかな。
定義に従うなら本来ニートはいろいろな人間がいるのだが、多くの人が抱くニート観ではそういう多様性を無視され、その中の一部である、ひきこもりやヤンキーといった本当に「働く意志のない」層がイコールニートのイメージになっている。ニートの数が増えていると言うが、本当に働く意欲がない人間は何十年前からほとんど変わっておらず、増えているのは主に働く意志はあるが求職活動を行っていないような人たち、例えば病気で退職したが、まだ職を探せる段階にないとか、一度は探したけど見つからなかったといった人たちである。それは本来雇用の問題なのだが、先述のようなニート観が幅をきかせているため、ニート問題は個人の心の問題に矮小化されてしまっている。そしてピント外れの支援策が行われてしまうようになっている。人間力とか脳的に挑戦されているような発言をする前に、雇用とかどうにかしろ馬鹿。
という感じなのが一人目。
ニート言説というのは、パラサイトシングル、ひきこもり問題などヒットしたマスコミ商品の系列につながるモノで、青少年ネガティブキャンペーンの一つの例に過ぎない。で、この青少年ネガティブキャンペーンというのは、青少年が凶暴化しているとか、青少年がなさけなくなっているとか(どっちやねん)、青少年がわけわかめ、とかそういう言説なんですが、メディアがそういう言説を支持する根拠としてあげているのは信用できるモノではない。例えば殺人やレイプの単位人口あたりの発生率はン十年前よりよっぽど下がっている。小学生女子が同級生の首切ったりしてるけど、んな事件昔もあったわけで、そういう特殊なケースを取り上げて一般化しているのが、「有識者」たち。他にもよく取り上げられるゲームとかの悪影響やその他のものも信じるに足る根拠はない。むしろそういったたいした根拠もない言い掛かりじみたものを使って、青少年が凶暴化している、軟弱になっているとか言っている人たちの精神状態の方があやしいんじゃねーの。それはつまりそういった人たちが様々な人の多様な生き方を受け入れられないからだ。ヤバッ。
という感じなのが二人目。
三人目は一人目二人目の内容を踏まえ、具体的な報道を詳細に取り上げながら、ニート報道が実際に問題あることを丁寧にのべ、ニートが本来の意味から外れ、イメージ先行の謎の使い方をされていることなどを示しつつ、もうちょっとどうにかしよう世みたいな事が書かれています。

という感じの本です。もうちょっと問題提起に徹しても良かったんじゃないかとも思うんですが、なかなか考えさせられる本でした。
ニートはアレですね。僕や僕の周りを振り返っても、もう完全にネタ用語になってますよね。やべーよニートになっちゃうよとかそんなノリ。本の中でも言及されていますが、ネットで言うなら、あの「働いたら負けかなと思っている」の男性の写真が強烈で。まあ、あの写真が本物だとしても、やらせなんでしょうけど。そうはいっても、あのネタ度の高さは強烈で、あれだけでニートイコール「働いたら負けかなと思っている」になっちゃったもんなあ。別にそれだけだったら良いのかもしれないけど、定義から出てくるニートの増加と、定義完全無視のイメージが関連づけられて語られるのは問題ですよね。だからニート問題が心の問題になるんでしょうが。
ゲームとかネットの悪影響とかはよく言われるけど、個人的にはテレビも十分怖いよなあと思う。テレビのリアリティが怖い。珊瑚礁落書き事件なんて誰でも知っているわけで、テレビが本当のことを映しているわけではない(というとアレですが、少なくとも作成者の意図は必ず入る)というのは誰でもわかっているんですが、それでもやはりテレビは映したモノを真実だと思わせてしまう力があるわけです。もちろん科学的手法で反証可能なモノであるなら、どうにかなることもあるんでしょうが、社会的、あるいは個人の精神的なモノとかは、放送されたことが一般に真実だと思われてしまう。というか無理矢理真実にしてしまう力がある。それを見ている人が必ずしも認識しながら見ているわけではない、というのが怖いなあと思います。もちろんネットだって同じような問題はあり、事実無根のことが検証されることなく真実だとして流通するなんて事はザラで、ネットがよりメジャーになれば、もっと問題になってくるんでしょうけど、それでも今はテレビの方が見てる人数と、その権威のために怖いなあと思います。本だってそうなんですが、映像の力は掛け値なしにすごい。
ゲームなんて、テレビ番組に比べればリアリティ全然ないからある意味では安全だと思いますけどね。とはいえMMOとかはかなりアレですし、どの方面から問題を見るかにもよるんでしょうが。
あと他にもいくつか思った。
ニート論というか、ネガティブ系青少年言説は少子化に一役買っているんじゃないかという妄想。いや、ほら親の責任を過大に求められると子供作るのためらうんじゃないのってはなし。
あと例示って怖いなあというか、「働いたら……」くんのように適切でない例の危険性は無限だ! もちろん適切な例を出せば効果的なのはわかりますが。当たり前ですが、気をつけないとなあ。
最後ですが、ニートを高齢者が非難するというのはまあ、良くないけどまあいいとして、僕もないわけではないので何ですが、若者が非難する場合が多い、というのはアレですね、気持ち悪いですね。非難というか完全に見下している構図が見える。自分は絶対ならないという自信からでる態度なんかな。そうなるとも思えない人が鬱とかになってニートに「転落」するなんてザラにあるんだろうけど。
うーん。まだない未来の足下を見て発言するのはできないでしょうが、なんだろう、難しいですね。ようわからない。まあ、発言力のない人間なんて好きに発言すれば良いんですけど。僕もそうしている。
イヤなら見なければいいし、基本的に見ないけど。
そういえば、ニートというと男のイメージがするんですけど何ででしょうね。
何ででしょうね。僕が男だからかなあ。

ああ、なんかこういうのを書くと馬鹿に見える。イヤだなあ。


ついでなのでもう一冊。
忘れられた日本人を読みました。
昔の日本の農家についての民俗学の本らしいんですが、基本的には作者が歩き回って聞き取ったことをまとめた本でした。民俗学には全く興味がわかないのですが、こういう自分と全く違う環境にある人の話は面白いなあと思いました。というかたった百年余りで、ここまで変わったのかとも思いました。まあ、知らないだけで、農家は今でもこういう感じの所はあるのかもしれませんが。
たまにはこういう全く興味のない方面の本も読むのも良いなと思いました。


漫画以外の絵はなるべく描かないようにしようと思ったり。