コイル
が面白い。電脳コイル。
無茶苦茶面白い。作品のキーワードとしてはユビキタスコンピューティングとか拡張現実感あたりか。電脳というと攻殻機動隊のようなものを思い浮かぶけど、この作品ではああいったいかにもな電脳空間ではなく、拡張現実と電脳メガネというインターフェースを通じてアクセスして、その中でいろいろ遊んだり戦ったりする子供たちのお話。設定としては割と現代的な物ではないかと思う。
まあ、しかしそんなことはどうでも良いんですよ。どうでも良い。とにかくこの作品のワクワク感は凄い、やばい。なんというか、おれもこの世界で小学生やりてえ!!!! という強烈な衝動に駆られる。いやほんと楽しそうなんですよ。電脳ペットとか電脳釣り竿とかサッチーとか、古流、暗号屋とか即席神社とか電脳探偵局とかメガシ屋とか。電脳ってつければいいんかいな。電脳設定でもこの手の物にありがちな変に格好いい物を目指さず、泥臭さをキッチリ出していっているのが好感が持てるというか、この世界に行ってみたい願望を加速させる。電脳空間と現実のリンクが絶妙なんだよなあ。うーん。今期ではグレンラガン素敵! とか思っていたけどこんな作品があったとは。
それはそれとして、こういった世界をどうやって実現しているのかというのには興味がわく。というわけでユビキタスもネットワークも拡張現実感も実はサッパリ知らないんですが、以下、適当に妄想。
主人公の電脳ペットの挙動を見ていると、そのデータを持ち主が所持しているわけではないように思える。というわけで現実空間に対応する場所にあるように見える。電脳ペットやその他電脳空間に存在するものを保持し、その挙動を計算しているコンピューティング資源が一体何処にあって、どう現実の情報を取得して、計算した結果を電脳メガネなどのインターフェースに返しているか、というのが気になる。簡単には巨大なサーバがあってそこで全てを行っているというのが思いつくし、最初のシーンとか思えば電脳空間の遠くの情報が時間をかけずにしっかり届いているのを見ると、こういう方がいいのかなあと思う。しかし計算はサーバでやるといっても作中で見られるように現実世界の変化をほぼ完璧に、ゴミ箱の中のことさえ電脳空間に反映させているから、ほぼ完全なセンサーネットワークが存在しているのがわかる。そこから来る情報を全て処理して云々しうるサーバが実現できるか。
まあ、出来るような気がする。近未来だし。しかし中央サーバ型だと、ああいう形態でサッチーが存在するのがよく理解できないし、あんまり面白くない。
というわけで個人的にはセンサーにはそれぞれ結構な性能の計算機がついていて、というかセンサー付の計算機ノードが無数に存在して近隣のノード同士は接続されていて、その場所の情報処理はその場所のノードがやっているという感じかと思う。そして例えば電脳ペットがある場所からある場所に移るとき、そのデータが実際にノードから違うノードに移っている、という感じの完全な自立分散型のネットワークになっているのかなあと妄想する。電脳メガネが電脳空間を見るとき、近隣のノードから情報を取得してレンダリングを行う。遠くを見るときは、物に遮られるまで遠くのノードまで問い合わせを行う。ノード同士の通信はそこそこ時間がかかり、遠くのノードまで一つ一つのノードを経由していくと時間が掛かるので、ある程度の距離事に遠隔のノード同士を接続するリンクが存在する。ワッツのスモールワールドネットワーク的な形でユビキタスネットワークが形成されている。ショートカットはそういった遠隔ノード間のリンクを利用している。
計算機ノードとしては通常のコンピュータ+ナノマシンような物を組み合わせているとか? 通常考えられるようなセンサーネットワークであそこまでのことが出来るとはあんまり思えない。
スプレーなどで空間に穴を開けたり、イリーガルのせいで空間が壊れるというのは、計算機ノードに負荷が掛かり、現実世界と電脳世界の対応がとれなくなり、異常な計算結果が電脳メガネに表示されている状態。古い空間は、かつては利用されていたが、今は使われていない余剰の計算機ノードが現実との対応を取らずに動き続けている状態。普通ではアクセスできないが、通常の計算機ノードに負荷が掛かるとリンクが復活したりする。イリーガルは現実と電脳空間がリンクしている状態では存在できない。つまり、センシング→電脳世界への対応の処理を利用して存在しているのではないか。
サッチーが神社とかにはいれないのは、私有地に入れない、私有地で何が起こっても市が対応する必要がないと考えているから、及び私有地で何かをした場合に訴えられるのを避けているから、かなあ。そういったところで空間が壊れた場合、どうするんだろう。
メタバグとか、暗号屋関係は四話まで見た限りでは謎すぎる。これから先また色々明らかになっていくんだろうけど。
そういえばこの世界、というか電脳世界ではデータの複製は出来ない構造になっているみたい。そうでなければミサイルなんかいくらでも撃てるしなあ。もしかしたら作品ではデータが僕らが普通想像する物とは違う物なのかも知れない。作るのも消すのにも非常にコストがかかる。1ビットを消すのには熱が発生するというし、そういう話?
あと、パケット代、とか言っているところから見ると、所謂通信は従量制でかなり高額のように思われる。
電脳メガネをかけて拡張現実にアクセスしている人間は、眼鏡をかけていない人間からすると何をやってるんだって感じだろうけど、この辺は携帯電話で話している人が怪しく見えたのに通じるような気がする。
まあそういう僕の妄想はいいんですが、とにかくこの作品のワクワク感は凄い、という話です。