2009年07月29日

なる

朝目が覚めた。勢いよく上体を持ち上げると、がつんと言う音がして脳みそが頭蓋骨に衝突した。痛みが前頭部に広がる。頭蓋骨が痛んでいるようです。はい、安静にしてと医者が言った。それは頭痛です。頭が痛んでますからね。薬を渡しましょう。トリガーはストレスからの解放です。ストレスとは圧力です。このヘルメットをかぶって下さい。このヘルメットは貴方を守ります。このヘルメットはバカには見えません。貴方には見えますか。
見えない気がする。ヘルメットが前頭部と側頭部と頭頂部を締め付ける。どうもサイズが僕の頭にあっていないようだ。
プロクルステスのヘルメット。
あってないというのは気のせいでピッタリだ。僕は思った。
それは良かった。週末は気をつけて。痛いと思ったらすぐこの薬を飲んで下さい。そのヘルメットは外せません。そのヘルメットは貴方を守っているのです。
僕の頭頂を圧すのは辞めて下さい。ヘルメットはピッタリだけど、頭を押すのはやめて下さい。僕は身長177cmです。歩くのはよくないようだ。階段を上るなんてとんでもない。
では心臓を移植しましょう。後頭部が丁度良い。わたしの霊的なメスは、貴方の霊的な心臓を霊的な頭蓋に切り移すのです。
どくんどくんと心臓が脈打つ音が頭の後ろから聞こえる。頭蓋骨が鳴っているようだ。移植は成功しました。医者が言った。血管が開いて血が音を立てて巡る。
頭を圧すのはやめて下さい。