2010年01月17日

「宇宙人になれ」と、首相は言った。

「地球から見れば、人間がいなくなるのが一番優しい」という首相の言葉がニュースになっているのを見た。文脈が正確には分からないので何とも言えないけど、印象的な一言なのは確かだと思う。
実際の所、地球に優しいという言葉の意味が僕にはよく分からないけど、首相が工学系出身だと言うことを考えると多分何か工学的な用語なのだと思う。しかしこういう専門用語を解説無しにとりあげるから、マスコミは強く批判されるのだと思う。キチンと注釈を付けて欲しい。
何にせよこれをそのまま受け取るとすると何らかの意味で、地球から人間がいなくなる方が良いと首相が考えているのだと思う。つまり、首相は人間は宇宙に進出するべきなのだと考えているという事が分かる。
人間が宇宙に永住するならば、超えなければならない技術的な課題は多数あると思う。一つの大きな問題として、人間が宇宙に生身で居ると死んでしまうと言うことがある。これに対処するためには、人間を宇宙にあわせて改造するか、人間に合わせた環境、軌道上のスペースコロニーや月や火星の居住区を作ることが考えられる。
しかし環境を人間に合わせようとするならば、月や火星や、宇宙に対して人為的な変更を加え元々の環境を損なってしまうという問題がある。
これは、おそらく月や火星や宇宙に対して「優しく」ない、と首相は考えるのではないだろうか。惑星などはそれらで完成した世界である。人間が手を加えるというのは、それらを損なうことになるという価値観があることが上記の言葉より推察される。
よって首相は人間を宇宙に合うように改造するということを考えていると結論される。人間が人間に対して手を加えるのならば、倫理的な問題はないと考えるだろう。あらゆる惑星に依存することなく無重力真空の中で自立して存在の出来る生命体。首相はおそらくそういった真の意味での宇宙人にこそ、人間はなるべきだと思っている。
地球が人類の揺りかごである。しかしもはや幼年期はおわりを告げようとしている。人類は次の段階へと成長しなければならない。
そういった思いを一言に込めたのが冒頭の一言なのだろう。おそらく首相はこれから宇宙と、サイバネティック・オーガニズム関連に大きく比重を置いた産業政策を打ち出していくと思われる。
十年後、僕たちは皆、宇宙から地球を眺めているだろう。