ゲテモノ食い
僕は基本的に食べ物に関しても、一切冒険をしない人間で、たまに見知らぬ土地に行ったとしても食べログで評判の良い地元の店を探していく、などと言うことは一切せずに全国チェーンのお店を探すか、あるいはコンビニでおにぎりを買って歩きながら食うような旅行向きではない人間であり、お陰で地域の名産品などというモノには全く疎く、おいしい店も全然知らないような人間なのだけど、この前とこの前に珍しく二回ほど多くの日本人が進んで食べるわけでもないものに手を出したので感想を書いておこうとおもう。
具体的に言うとヘボ(クロスズメバチ)とホビロン(雛料理)の二つ。
実際のところこういった日本ではゲテモノにカテゴライズされるモノを食べようと思ったのは、きっかけは漫画とかアニメの影響ではあるのですが、それはともかくとして、もしかしたらおいしいのではないかと期待したわけでは一切なく、単純にそういった見た目ヤバイ食い物を目の前にしたときにいったい自分がどう反応するのかなーというそういう好奇心だけだった。
何が言いたいかというと、僕はこれまでもこれからも自分の食の守備範囲を広げるつもりはないし、納豆好きになる外国人と大阪国人マジすげーわ、ということである。
□ヘボ
クロスズメバチ。その幼虫と成虫をすりつぶして五平餅のたれにしたり、炊き込みご飯に入れたり、佃煮にしたりしているものを食べた。
岐阜の山の中で11月頃に開催されるヘボ祭りというヘボの巣の重さを競い合うコンテストをメインとしたお祭りの出店で売っている。関東で食べられるところがあるかどうかは寡聞にして知らない。
知ったのは 高杉さん家のおべんとう という突然文化人類学系のオーバードクターが姪と暮らすことになるという漫画の第三巻に取り上げられていたからである。。
この漫画、突然共同生活が始まる二人の話が主眼ではあるのだけど、主人公が研究者であることもあり文化系動物のお医さん的なノリもあり知らない世界を知るということができて面白い。また、いかに知らない文化を理解するかという研究と主人公と姪との関係がうまいことリンクしているなーと思う。
ちょうど漫画を読んだときに調べてみたら一ヶ月後ぐらいにそのヘボ祭りがやっていたので、声をかけてみたらのってくれたのが居たのでいってみた。
近づいた時点でハチが飛びまくっていてヤバイ雰囲気を醸し出していたんだけど、会場では文字どおり雲霞のごとく飛び回っていて身の危険を感じる。結果として言えばおとなしいとの前評判通り、クロスズメバチに体に止まられることは何度もあったけどさされることはなかった。ちなみに飯食っていたときに隣に座っていたお爺さんは、体に止まったスズメバチを叩いて、刺されてた。おいおい。
五平餅は普通のおいしい五平餅。
炊き込みご飯は成虫の見た目がちょっとキツイんだけど、小さいし遠目には黒い塊にしか見えないから、そこまでやばくない。食感は単なる甲殻類でエビに似ている。幼虫はえーと見た目はご飯に紛れで全然目立たないし、食感も柔らかいから正直よくわからない。総じて言えば、冷めているそれなりにおいしい炊き込みご飯。
佃煮はお土産に買って忘年会にみんなに食わせた。まあ、単なる佃煮ですね。
思ったほどにはやばくはなかったのだけど、しかし今後も食うかと言われれば、食わないだろうな。
□ホビロン
孵りかけの雛を卵ごと調理した料理。料理方法は知らぬ。
知ったきっかけとしては花咲くいろはの民子の口癖であるホビロン。作中では明言されてなかったと思ったけど、まあ特に興味を示すようなネタでもなかったので、気にしてはなかった。
ちなみに漫画版では口癖はホビロンではなくサンナクチだったりする。
あとマルドック・スクランブルの主人公である、ルーン・バロット。このバロットがホビロンの別名だった。マルドゥックシリーズでは作中のキーとなる三人、ボイルド、ウフコック、バロットは全部卵料理からとられている。前者二つは普通に食べる料理だけど、バロットだけはそうそう日本では食べない。
ネットでたまたまホビロンが上野で買えるという話題を見て、ああー花色とマロドゥック・スクランブルの二つのネタを押さえられるなーと思ったら無性に食べてみたくなった。ヘボが思ったより刺激が少なかったと言うこともある。
アメ横センタービルの地下のアジア系の食料品店で買って、知人の家に持ち込んで食った。ちょいいやがられたけどな。
これは本当にやばかった。
見た目もそれなりにグロイんだけど、それより何よりゲロマズだった。
やばい。
とにかく臭いがヤバイ。
超絶大失敗した固茹で卵の硫黄臭さを10倍ぐらい強烈にした感じ。一口食った瞬間臭いが口と鼻に満ちて胃が痙攣して食道の動きが逆転するスイッチが押された。ウーロン茶がなければ大変なことになるところだったと思う。
見た目は白身と肉になりかけの黄身と体毛と肉が入り交じっている感じ。グロイと言えばグロいんだけど、想像していたような雛の形が見えるような訳ではなかったので、そこまで気にはならなかった。
まずくなければ別に普通に食えたな。
というかたぶん、これはホビロンがまずいと言うよりは、まずいホビロンを買ってしまっただけという気がしている。白身の部分とか固まりすぎて完全に食えない状態だったし、おそらく調理時間ミスってんじゃないかと思う。
結論として、見た目はともかく不味いと思うモノは食えない、ということがわかったので、ゲテモノに挑戦するのはやめようかと思う。お金と労力をかけるなら、普通に舌に合うおいしいモノを探すのが一番だと実感した。