2012年06月07日

劇場版BLOOD-C感想 ネタバレあり

期待しまくって、公開初日の初回で見たんだけど、うーん、正直コレどうなのという気分になった。あのTVアニメの劇場版に何を期待するのと言われればそうなのかも知れないけど、しかし結構面白くなる要素はあると思ってたし、話がダメでもすげーアクションとかが沢山あれば楽しめるんじゃないかと思ってた。

□期待したこと
1.セーラー服に日本刀の美少女が超絶アクションで大暴れ
2.劇場版クオリティで驚きのグロシーン!
3.撒き散らした伏線の綺麗な回収。

□結果
....


細かい話は置いておいて、この映画はハーレクインとか少女漫画とかのパターンをBLOODでやろうとしたのかなと思った。結局、伝統のある家系の生まれで日本を左右できるレベルの企業(セブンスヘブンw)の社長で当然大金持ちのイケメンである文人がヒロインにあの手この手で熱烈にアプローチするお話なのですよ、BLOOD-Cは。

基本シリアスな雰囲気でその微妙な設定はどうなんだろう。家系により背負った重い責任から逃げて一目惚れした小夜に謎の愛情表現をするために大量殺戮とか敵役としてはクズすぎてどうしようもない。まあそれでも他がしっかりしていれば面白くなったんだろうけど。

だいたい文人のやることなすことが意味不明すぎて分からないし、それ以前に全般的に設定がよく分からない。なにもわからない。最後のクライマックスもよく分からない。なんでPS3のゲーム画面みたいになったのか分からないし、なんであっさり倒されたのかも分からない。文人がどうしたかったのかが分からない。青少年保護条例は結局何がしたかったんだ。
あとキャラの魅力も分からない。途中で小夜が「皆君に惹かれていくな」という感じの台詞をかけられるけど、小夜の魅力も分からない。わりとアホの子に見える。映画キャラの魅力も分からない。というか全員馬鹿にしか見えない。

頑張って設定を整理しようと思って、ノベライズと漫画も全部買ってみたけど、余計分からなくなった。カオス。

ノベライズを読んだ感じでは、映画などで明確に語られていない設定などをきっちり頭に入れて見ればもうちょっと面白いのかなあと思ったけど、それってどうなんだろう。もうちょっと普通に楽しませることは出来なかったのかな。


TVアニメ版で面白いなあと思ったのは、浮島実験という舞台により日常シーンが作品中でメタな視点から語られることにより、あのクソみたいな寒々しい日常シーンにうんざりした視聴者の気分と登場人物の気分が実はシンクロしていたというトリッキーなことを成し遂げていたところですよ。
「つーかまず制服がありえないっつーの」はアニメ史上に残る名台詞だと思う。
つまらない話を見るうちに、知らず知らずのうちにののねねや時実に感情移入しているという素晴らしい構造。

しかし映画はそういった一歩引いた構造が存在しないために、つまらなさが生々しく迫ってくる。TV版と映画版ともにあまり面白くないけど、そこが致命的な違いだな。