2012年振り返る
気が付いたら大晦日だ。
年を取ると時間がたつのが早くなるといわれたが、確かにそうだと実感している。みんなが言うことは実際正しい場合が多いのだろうな。ただ今年の初めのころのことを思い返すと、意外とずいぶん昔のことのようにも感じられる。ちゃんと一年は経っていたんだな。
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仕事に関していうと、なんか妙に余裕があった。
かかわっているプロジェクトの立ち上がりがずいぶん時間がかかっていたのと、その他諸事情により切迫感がない一年だった。こんなことでいいのだろうかと思ったりもするが、早く帰宅することでなんか本読んだりダラダラしたりネットしたら早寝したりが捗ったので実によかった。この先もこれぐらいの働き方がしたい
裁量労働制の残業代固定、ハタラキホーダイプランに移行したけど、これは自分にとってお得だったのでドンとこいだ。
来年以降どうなるかは知らないが、うわさを聞くに不思議な線表が引かれているらしい。どうなろうと時間は容赦なく過ぎていくから、計画にふさわしい結果に落ち着くことだろう。
しかし、もうすぐ満五年目かと思うと何となく感慨深い気持ちになる。中堅になりつつあるんだろうけど、それほど職責が増えているわけでもなく気楽な身分ではあるのでいまいち実感がない。後輩が入って教育担当にでもなれば少しは気分になるのかもしれないけど、担当分野に下が全然いないしなあ。数少ない後輩も一人やめてしまったし...
年代的には下を育てられるようにもならないといけないんだろうけど、どういう風にすればいいのかよくわからないんだよなあ。教えられるほど理解していないってことかもしれないけど、そもそもデバッグとかいつも自分も勉強しながらやっているし、情報集めて仮説立てて検証して、ぐらいの大雑把な枠組みしか説明できない。どうすればいいのやら。
あと最近気が付いたけど、開発それ自体よりもデバッグのほうが楽しいね。いや、デバッグして楽しい問題と楽しくない問題というのもあるけど、一般的にデバッグのほうが脳内麻薬がバンバン出てる感じがする。
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生活的な面でいうと、食生活が改善された。去年までの無限レトルト生活をやめて、食材を買って自室で料理をするようになった。とはいえそもそも料理に労力をかけたくないので、いかに最低限の労力でちゃんと栄養を取るかという一点にのみ主眼を置いている。
具体的には、野菜を切ったのと豚肉に塩コショウを振って、シリコンスチーマに突っ込んでレンチンしているだけ。とにかく楽。買い物も毎回同じものでいいから十分もあれば済んでしまうし、三日分野菜を切ってたっぱで保存するので包丁使うのも三日に一度でいい。とにかく楽で時間がかからない。
それでいて意外に美味い。
今年の一年の夕食は80%はこれだったけど、凝った味の料理じゃないからどうしてなかなか飽きない。それは食べるのにこだわりがないからで、みんなが飽きないかはわからないけど。
なんにせよシリコンスチーマは大当たりだった。おかげで今年はわりと体調がよかった気がする。
そして体重も増量していった...
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減量をした。
ここ五年ほど社会人ダイエットをしてたが、やはり慣れてストレスが減ったためか減量効果が落ちてしまった。結果二年ほど前から徐々に徐々に増えて行って今年の夏にはついに標準体重をオーバーした。
そして残念なことに標準体重になると、これ本当に標準体重か? というぐらい肉が付く。すごい肉々しい感じになる。たぶん小錦的な超絶体重がある人たちが統計をゆがめているんだと思う。
でもまあ一応日本人の標準だし、と自分に言い聞かせてたけど、二年ぐらい前の自分の写真と比べるとビビるぐらい太っていたことが判明したので八月ごろに一念発起してダイエットをしてみることにした。
やったこととしては非常に基本的なことだが、間食を減らすことと、運動量を増やすことだけ。入力を減らして出力を増やすだけ。
まず間食として毎日カロリー高そうなおやつを食っていたのと、炭酸飲料を飲んでいたのをやめて、会社にいるときの間食はチロルチョコ、家にいるときはヨーグルトだけにするようにした。食事量は減らすつもりはなかったけど、結果として自然と減っていった。
運動は寮のエレベータを使うのをやめて階段使うようにするとか、週三回ぐらいでスロトレするとかその程度。途中階段でこけて肩を打ってからはスロトレやめてスロージョギングにしている。
結果、三か月ちょいで10%ほど減って腹回りも十センチ近く減ったので成功だと思う。オムロンのウェルネスリンクで体重記録しているので、やった成果が簡単に数値に出てくるので非常に楽しかった。こんなに成果が出やすいこともないだろう。
やってみて体重というのは生活習慣の総和というのを実感した。生活習慣を変えれば簡単に増えも減りもするんだなと。やはり太るのは動いている以上に食っているだけということだった。
次はちゃんと筋肉つける方向でいきたい。
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旅行は、名古屋、飛騨高山、諏訪、河口湖、ぐらいか。旅行というほど遠くもないけど。家以外だと寝つきが非常にわるいことが多くて旅行あんまり好きじゃなかったんだけど、耳栓アイマスクを使うようになってから結構寝れるようになったので、前よりは旅行が好きになってきた。
旅行好きの人は体力があって、寝つきがいい人が多いというイメージがある。うらやましい。
来年もなんか行きたいなあ。
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コミュ力的な方面は相変わらずあまり強化されなかったな...
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漫画も六月にまとめ本だしただけだな。全然描けなくなってるなあ。時間はあるんだけど、どうにも手がつかない。最近久々に書き始めたけど一コマ/週ペースという感じだ。ふーむ。
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デバイス的なのはなんかあったかな。
4月にX-HA1というヘッドフォンアンプと11月にiPhone5を買ったぐらいか。ヘッドフォンアンプは確かに音よくなった気もするけど、そこまでお金かける必要があるのかという疑問にとらわれた。でもたぶんそのうちスピーカーアンプも買うだろうな。
iPhone5は特に面白味はないんだけど、速いし便利ですね。軽くなったし。地図はギャグだけど。
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面白かった本など。今年は小説たくさん読んだなあ。
□小説
・卵をめぐる祖父の戦争
第二次世界大戦中のレニングラードで、少年が包囲下の中軍の大佐の娘の結婚式のために卵を探しに出かけるという話。なかなか凄惨な内容なのだが、戦時下に卵を探しに出かけるという不思議な状況も相まってなんかおとぎ話を読んでいるのような感覚がした。よかった。
・一九八四年
いわずとしれたオーウェルの超有名作だけど、今更ながらに読んでみた。主人公が思想的に屈していくという話も面白かったんだけど、ニュースピークや二重思考という仕掛けが興味をそそった。
・動物農場
一九八四年が面白かったので読んでみた。どういう風に権力が成立するのかというのが何となくわかるようで興味深かった。ほかのエッセーもなかなかいい。
そういえばカタロニア賛歌も読もうと思ってたんだった、忘れてた。
・最後から二番目の真実
ディストピア小説読んでみるかと思って久々に呼んだディック小説。
・魔法少女育成計画
魔法少女バトルロワイヤル。なかなか完成度高い悪趣味っぷりで非常によかった。続き出たけど読んでないなあ。これ自体はとても面白かったけど、同じネタでもう一冊書くよりは、キャラ立ちのいい
美少女を嫌いなこれだけの理由の続きを書いてほしい。
・プロジェクト・ゼロ
セクサロイドのプロジェクトX。
題材が笑えるけど、なかなか真面目なSFだった。
・シャンタラム
オーストラリアから脱獄した犯罪者がインドに入国しスラムに落ち医者になり信用を勝ち取りマフィアになり成り上がりアフガニスタンに戦争に行きという激動の人生を描いた小説。これはとにかく素晴らしかった。著者の経歴を見たらほぼ小説の内容と同じで吃驚した。今年一番ぐらいに面白かった小説。
・新世界より
アニメでやるんだーというので興味をもって読んでみたんだけど、これもまた今年一番ぐらいに面白かった。話が劇的で面白いのというのもあるんだけど、そのストーリーと超能力者がいる社会をなりたたせるにはどうすればいいのかというテーマが非常にうまく絡み合っていて最高だった。
またディテールの作りこみもすごいんだ。貴志祐介Sugeeeってなって悪の経典とか天使の囀りよんでがんがん精神力を削られたので当分読むのはやめようと思った。面白いんだけど精神的にえぐいんだよなー。
・華竜の宮
陸地の大半が沈んでしまった未来の地球で、陸の国家と海の人の対立を解決しようとする外交官、のサポートAIの視点から語られる小説。近未来SFでありながら、話の主眼が外交交渉というのが珍しく、また面白かった。これも細かいところの作りこみが非常によかった...
いま続きを書いているということなので楽しみ。
・デルフィニア戦記
久々に呼んだいかにもなファンタジーなんだけど、なかなか面白かった。ただヒロイン(?)のリィが無双すぎて危機感がなかなか出ないかったな。それでも、リィならなんとかしてくれる....!! という感じ。
・ネクロノミコン異聞
第二次世界大戦中にドイツとソ連がそれぞれクトゥルフの神を召還してお互い戦うという話。エロの人なのでフェティッシュな感じが強いのがなんですが、とりあえず革命的超越者というキーワードが面白すぎたのでOKですね。
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・繁栄
交易やアイデアの交換が文明の発展を駆動しているという感じの内容の文明史。テーマと主張がはっきりしていて読みやすく面白かった。前向きで未来に希望を持たせるような本だった。
・ヴィクトリア朝時代のインターネット
遠距離との同時通信を世界で初めて実現した技術である電信がどうやってできたのか、そして世の中をどういう風に変えていったのかという本。現代の通信ネットワークもそもそもはここから続いているんだなと思わせるいい本だった。技術系の人は読むと幸せになれる。
・文盲
アゴタ・クリストフの自伝。自伝なんだけど、小説と似たような感じ。対象は作者自身なんだろうけど、激動の人生を断片的、淡々と描いていて不思議な距離感を感じさせる。
・素晴らしきラジオ体操
ラジオ体操を題材にしたエッセイ。特にラジオ体操の歴史が面白かった。アメリカで保険会社が始めたラジオ体操が形を変えつつも現代の日本まで生き残りつづけているのが、まさにミームのようで非常に興味深かった。
安心の高橋秀実クオリティ。
・ボクには世界がこう見えていた
統合失調症の患者が一人称視点でかいた自伝。統合失調症によるいろいろすさまじい体験を治った後に書いているように見えつつも実は全然直っていな感じが端々に見えてすごかった。かなりやばい。
・督促OL修行日記
借金の督促を行っているOLの体験談ということで、職業ものエッセーとしてはなかなか強烈でよかった。
・食の終焉
この本では現代の食糧生産のシステムは持続可能ではない、というのを農家や畜産、食品会社、小売り、消費者などのさまざまなプレーヤーの取材から明らかにしている。過度に効率化されたシステムは外乱に脆くなるというのの一例だと思う。
巨大化した企業は政治的にも大きな力を持つため、システムが崩壊するまで決定的な手が打たれることはないだろうという悲観的な結論に至っている。
これ...実際どうなるんだろうな。まったく他人事ではないんだが。どこかで大問題になるんだろうな...