2013年07月03日

Operaよ永遠に

Opera15が正式リリースされていた。話題のChromiumベースのOperaだ。

ここ最近のOperaは他のブラウザに負けつつはあった。最強伝説は確実に過去のものとなっていたし、webkitに移行するという話が出た時はそれも仕方のないことなのだろうと思った。ただ、それはあくまでもレンダリングエンジンの変更だけだと思っていた。
だからまさか劣化版ChromeのようなものがOperaの名前で正式にリリースされるとは想像もしなかった。

確かにOpera15も起動直後は一見Operaのようには見える。左上に赤いOが輝いている。あの素敵なスピードダイヤルもあり、ついでにiPhoneのようにフォルダ機能が追加されている。アニメーションがトロくてイライラさせられるが、一見素敵な機能だ。
マウスジェスチャーもデフォルトで入っている。

だがそれだけだ。
恐ろしいことに、他にこれがOperaであると認識できる機能が他に存在しない。
強いてあげるならメニューに"Operaについて"というとてもクールな機能がある事ぐらいだ。

何がなくなったのか。
何もかもなくなった。
IEやChromeと一線を画す、ビルトインのカスタマイズ機能はどこに行ったのか。ない。
マウスジェスチャーのカスタマイズも無くなった。ボタンのカスタマイズも出来ない。タブの位置を変えたい? バカ言っちゃいけない。
ブラウザにあるまじき様々な機能、メールクライアント、IRCクライアント、P2Pクライント。RSSリーダー。勿論無くなった。R.I.P.
今や珍しくなりつつある古式ゆかしきブックマークは? 無い。誰が今時ブックマークなんて使うんだ、だって?
ブックマーク、メール、メモ、ダウンロード、履歴、リンク、ページ情報などが見られたあの便利なサイドパネルも死んだ。二度と買えることは無い。これからは1ウィンドウを占めるタブとして表示しなければならない。何という無駄!
みんな“シンプルなUI”という大層なお題目の中で虐殺されてしまった。
UserJS、UserCSS、さようなら。
ウィンドウ幅に合わせてページの表示を調整する機能。フォントの最低サイズを決める機能、ページスクロールのなめらかさを変える機能、Operaを快適にしてきた目立たないけど重要な様々な機能、それらもない。

何もない。OperaをOperaたらしめた機能の全ては消えてしまった。もうどこにもない。

今や支配的になりつつあるブラウザに機能だけでは無く思想まで借りるようになってしまったのか、拡張機能を入れなければ全力で直進することしかできないChromeと同じになってしまった。
そして悲しいことに、拡張機能は殆ど揃っていない。

そして追加されたものが何かというと、スタッシュとディスカバーだ。どちらも今ではそこいらに転がっているWebサービスで実現している機能だ。
あって困るものでは無いが、少なくとも新しいOperaの目玉として見せるような機能では無い。その開発リソースはOperaの機能を一つでも多く実装することに使うべきでは無かったのだろうか。

OperaをOpera足らしめているものは二十年に及ぶ細かい機能追加、改良の積み重ねであり一言で表せるものではない。全機能を使う人はいないだろうけど、それぞれの機能を使うユーザはいる。そしてそういった蓄積された無数の機能があるからこそ、忠実なOperaユーザーは他のブラウザの勢力図が劇的に変わる中で何年もOperaを使い続けて来た。
ユーザーがOperaに求めるものは先進性もあるが、それにも増して連続性だった。そしてそれは失われてしまった。

Operaの連続性が失われ、新しい付き合い方をゼロから作る必要があるのなら、そしてそれがカスタムChromiumに過ぎないなら、何故Operaを選ぶ必要があるのか。Chromeは実にGoogleらしいevilさで、できるなら使いたくはないが、Operaと同じレンダリングエンジンだし、少なくとも拡張機能は充実している。Firefoxは知らないが、IEも最近は、悪くない。
選択肢はいくらでもある。

こうして、Opera15によってOperaは一旦冥界送りにされてしまったが、再び現世に戻ることはあるんだろうか。最近はやりの高速リリースサイクルをOperaも採用するらしいので、 あるいはかつての能力を少しずつ取り戻して行くのかもしれない。
Discoverのようなどうでもいい機能にリソースをつぎ込んでいること、パネルを復活させる気がないことをみるとそれほど期待もできないが、10年以上自分にとってインターネットそのものであったOperaがこのままChromiumの無数にある亜種の一つとして沈み込んでいくとは思いたくない。Opera15はあの輝けるOperaがIT業界のドッグイヤーの炎に巻かれ燃え尽きた灰に過ぎないが、Operaはその灰のなかからきっと不死鳥のように蘇るだろう。
そう信じたいものだ。